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2018.09.25No.754 民法改正 ~自筆証書遺言~

カテゴリー:その他

1. はじめに

第196通常国会における民法改正により、相続関連の規定が約40年ぶりに見直されました。本号では、普通方式の遺言のうち、自筆証書遺言(改正あり)と、公正証書遺言(改正なし)を中心に解説します。

2. 自筆証書遺言と公正証書遺言の作成方法(現行)

自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自署し、これに押印することにより作成します。また、変更する場合には、その場所を指示し、変更した旨を付記して署名・押印する必要があります(民法968)。
公正証書遺言は、2人以上の証人の立ち合いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がそれを筆記することにより作成します(民法969)。

3. 自筆証書遺言のメリット・デメリット

(1) メリット
自筆証書遺言は、公正証書遺言と比べると、証人が不要で費用がかからないというメリットがあります。
(2) デメリット
自筆証書遺言には、①遺言の全部を手書きで作成するのは遺言者にとって負担が重い(特に、財産が多数ある場合等)、②遺言が見つからなかったり相続人により破棄されたりする場合がある、③家庭裁判所における検認手続が必要である、④書き方・変更方法の要件を満たしておらず無効となる場合がある、⑤遺言者の遺言能力(遺言の有効性)について争われる場合がある等のデメリットがあるとされています。

4. 自筆証書遺言に関する民法改正

(1) 財産目録【見直し】
2019年1月13日以後に作成する自筆証書遺言に添付する財産目録については、自署ではなくパソコンで作成したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書等を目録として添付したり、他者に書いてもらったりすることができるようになります(この場合、偽造防止のために、財産目録の各ページに自署・押印は必要です)(新民法968②、民法改正法附則1①二)。
(2) 保管・検認手続【新設】
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(2020年7月13日までに施行予定。以下、「保管法」)が創設され、遺言者は、遺言者の住所地もしくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(法務大臣が指定する法務局・法務局の支局・出張所等)に対して、自筆証書遺言の保管を申請できるようになります(保管法1、2、4①③)。
また、遺言者の死亡後に、遺言者の相続人、受遺者、遺言信託の受益者として指定された等は、遺言書保管所に保管されている自筆証書遺言について、「遺言書情報証明書」の交付申請をすることができるようになり、家庭裁判所における検認手続は不要となります(保管法9、11)。

5. 改正の影響

上記4.の改正により、上記3.(2)で示したデメリットのうち、①から③については解消され自筆証書遺言が作成しやすくなったといわれていますが、④及び⑤のデメリットは引き続き残ります(自筆証書遺言に関しては、実務上、これらのデメリットが一番怖いところではないかと思います)。

6. 公正証書遺言のメリット・デメリット・手数料等

公正証書遺言は、公証人が作成する公文書であり、作成費用はかかる(デメリット)ものの、一般的に上記3.(2)で示したようなデメリットはないため(メリット)、メリットのほうが大きいと考えます。
遺言者の死亡後における相続人の間のもめごとを軽減するためには、作成費用を支払ってでも公正証書遺言を作成することをお勧めします(例えば、財産額が2億円で、配偶者に1億円、子2人に5,000万円ずつという遺言の場合の公証人の手数料は、11万円程度)。
なお、遺言者が病気等で公証役場に行けない場合には、公証人に出張をお願いすることもできます(出張範囲は、各公証人が所属する法務局・地方法務局の管轄内。別途、日当と交通費が必要)。また、一部の公証役場は混みあっていて予約が数か月先になるようですが、遺言者が公証役場へ行けるのであれば、日本全国どこの公証役場であっても遺言作成が可能です。

7. 終わりに

相続対策が必要な場合には、公証役場へ行く前に、税理士や弁護士等に相談することも多いのではないかと思います。私どもは、全国の公証人や行政書士法人タクトコンサルティングのほか、必要に応じて弁護士・司法書士と連携して、お客様のよりよい遺言作成をサポートしております。遺言の作成・書き直しをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

[ 宮田 房枝 ]

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