二世帯長期優良住宅では不動産取得税にご用心 一棟の家屋か、二戸の家屋かで争い
二世帯住宅は、現在でも根強いニーズがあるようです。たとえば、次のような利点があるからです。
- 区分所有登記をしなければ、一棟の家屋の二戸独立した住戸に親子別々に住んでいたとしても、その敷地全体について、小規模宅地等の特例で80%評価減が利用できる点
- 介護が必要な場合、身近で対応可能な点
- 音やプライバシーの問題は、建物の仕様で解決できる点
ただ、二世帯住宅を取得する局面では、不動産取得税に注意が必要になってきます。
というのも、新築住宅家屋に対する課税標準の特例(地方税法73条の14)等の適用で、税額を抑えるには、所定の床面積要件等を満たす必要があるからです。
具体的には50平米から240平米までであることです。
ただし共同住宅等で貸家の用に供されるものは40平米からとされています。
新築住宅家屋に対する課税標準の特例は、新築住宅家屋の評価額から1200万円を控除するものと、認定長期優良住宅の新築家屋の評価額から1,300万円を控除するもの(地方税法附則11条第8項、以下、特別控除という。)があります。
この特例を二世帯住宅全体に適用するためには、次のどちらかを満たす必要があります。
①全体で構造上住宅が「一戸」と認定されること、又は②各戸独立した「二戸」の住宅でそれぞれ特別控除の床面積要件等を満たすこと。
しかし、この要件を満たすかどうかをめぐっては、しばしば、税務上のトラブルとなることがあります。
最近でも、二世帯長期優良住宅を取得した人が課税庁である東京都と特別控除の適用を争った事例が出てきました(東京都裁決令和8年5月21日)。
問題の住宅は、1階に母の住む住戸、1階と2階は子供であるAさん夫婦が住む住戸として建てられた一棟の認定長期優良住宅でした。
具体的には家屋が、各区画に玄関、流し台、トイレ及び浴室等があり、それぞれ独立して居住することができ、各区画は仕切られており、扉がある場合も遮断性が認められるものでした。
このことから、東京都の課税庁は、この家屋について住戸が2戸ある家屋と認定し、母の住む1階部分は認定長期優良住宅の床面積要件を満たさないことを確認。
その上で課税庁は、子供夫婦の住む住戸にだけ特別控除を適用し税額を算出、納税通知書をAさんに送付。
Aさんは、これを不服として、家屋全体を1戸の住戸として特別控除を適用するよう行政不服審査をしたものです。
行政不服審査会の答申では、家屋は独立している2戸の住戸があるものと認定、1戸は特別控除の床面積要件を満たさないとして、課税庁の行った課税処分に「違法又は不当な点は認められない」と判断しました。
東京都の審理庁は、これに従い課税庁の処分を支持する裁決を下しています。
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