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財産評価基本通達6項が令和8年前半に1件発動

2026.08.24

国税庁の相続財産に関する評価のルール(財産評価基本通達、以下、評価通達という)の例外を定めた評価通達6項の発動1件について、令和8年5月15日に国税庁長官が指示を出していたことがわかりました。
これは情報公開により判明したものです。

評価通達は、相続税等を計算する際の相続財産等の金銭的価値を評価する方法について、国税庁が定めたルールです。

評価通達6項はその例外で、評価通達による評価額とその財産の時価に乖離があって、評価通達による評価額での申告を認めると過度の節税となるなど「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある」場合には、その財産について適正な時価で再評価することを認めるものです。

このほど明らかになった発動事案は、東京国税局の事案で、対象財産はマスキングのため不明でした。
少なくとも国税当局は「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある」と判断したものと見るべきでしょう。
しかし評価通達6項の適用が税務訴訟で否定された事例もあり、財産の再評価に関し「後出し」批判が寄せられるなど、国税当局にとってはリスキーなものでもあります。

今回の発動は、来年1月から適用される改正評価通達「貸付用不動産の相続税評価」の全貌が明らかにされる直前というタイミングです。しかも取引相場のない株式の評価の見直しの有識者会議が行われている時期でもあります。
国税当局の意図がどの辺にあるか、気になるところです。

実はこの発動の約2週間後に、国税庁で全国国税局課税(一・二)部長会議が開かれ、次のような文書が出されていました。

「令和8年度税制改正大綱に盛り込まれた「貸付用不動産の評価方法の見直し」の対象のうち、特に不動産小口化商品については、通達を施行するまでの間に、親族間における駆け込み贈与等の発生が懸念される。
このようなスキームを看過すれば、税制への信頼感が著しく棄損されるおそれがあり、不動産小口化商品に係る取引の動向等に重大な関心をもって注視しているところ。
今後、悪質な事例等を把握した場合には、課税処分を念頭に資料・情報収
集を積極的に行うとともに、必要に応じ国税庁まで情報を提供されたい。」
 
これは、財産評価の方法が改正される直前での駆け込み節税をけん制する
姿勢を示したものです。

このことから評価通達6項の発動は、上記会議以前から国税庁が「実質的な
租税負担の公平に反するというべき事情がある」ケースについて、新評価
方法の登場を待たず、断固たる姿勢で臨んでいることを伺わせるものとい
えそうです。

[ 遠藤 純一 ]

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