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新築家屋でも不動産取得税が施主の宅建業者に課税される場合とは?

2026.02.24

不動産取得税は、不動産の取得に対し、その不動産所在の都道府県において、不動産の取得者に課するとされています(地方税法73条の2)。
しかし例外があって、家屋を新築して売買することを業とする宅地建物取引業者など一定の者(宅建業者等)に認められた不動産取得税が課税されないケースがあります。
新築請負業者から施主である宅建業者等が新築建物の引渡し(新築譲渡)を受けたケースです。
この家屋の引渡しには、宅建業者等に不動産取得税は課税されません。

もっとも①引渡しから原則として6か月(特例で1年)経過しても家屋につき「最初の使用又は譲渡」がなかった場合、②その新築譲渡の後に最初に行われた使用が行われた日において「家屋の取得があったもの」とみなされた場合は宅建業者に課税されることになります(同法2項)。

ところが、「引き渡し後の最初の使用」や「引き渡し後の最初の譲渡」のうちどちらが先になるかで、課税されるかどうかが決まるため、その事実の認定をめぐって課税庁と納税者である宅建業者等の間で争いになることがあります。
最近では新築家屋の宅建業者による賃貸借が先か、それとも新築家屋の買主への譲渡が先かが問題となった東京都令和7年1月6日裁決の事案がそれです。

裁決書によると、事実関係の概要は次のとおりです。
1.宅建業者Aは平成30年9月、家屋の完成前に買主Bとその家屋と敷地の売買契約をしていた。
2.家屋につき建築基準法上の完了検査が同年10月4日に行われ、検査済証が10月9日付でAに交付。
3.Bは同年10月4日に、家屋につきBを所有者とする表題登記申請を行った。
4.AとBは覚書を交わし、家屋の所有権がBへ移転する前であっても、Bにより建物表題登記がなされること、また、賃貸借契約が締結され賃借人の入居があるときには、引渡しについて定めた売買契約の記載にかかわらず、家屋はBに引き渡されること、さらには、家屋がBに引き渡された後も、売主であるAは買主に代わって賃借人の募集及び賃貸借の提携を行うこと等の
合意がなされた。
5.Aは同年10月9日に新築家屋の一部を第三者に賃貸契約をし、同年10月13日に入居をさせた。
6.Bは同年10月26日に残代金を支払い、同日に所有者をBとする家屋の所有権移転登記が行われた。

課税庁である東京都は令和2年3月に、家屋の取得原因を新築、取得日を最初の使用の日である平成30年10月13日として不動産取得税を課税したところ、Aは、「家屋は残代金決裁前でも、建物の完成と同時に買主Bに引き渡され、建物の所有権はBに移転されたものであり、Aは家屋の所有権を取得していない」として不服申立で、課税の取消を求めました。

行政不服審査した東京都の審査庁は、次の事実に基づき、Aが新築家屋を取得した時期について、遅くとも同月4日頃までに完成し、注文者であるAに引き渡され、所有権を取得したものと認めるのが相当と判断しました。
ア.Aと建築業者の請負契約ではBに所有権を原始取得させる旨の特段の定めはないこと
イ.家屋につき建築基準法上の検査を同年10月4日に受け同月9日付け検査済証が発行されていること
上記を踏まえ審査庁は、Bへの家屋の所有権移転については代金全額の完済時である平成30年10月26日と解される一方、Aが家屋の一部について第三者と賃貸借契約を結び、使用に供した平成30年10月13日から家屋の使用が開始されたと認定、課税庁の不動産取得税の賦課処分を支持しています。また、審査庁はAの主張に対し、次の事項を指摘、「主張に理由はない」と判断しています。
ウ.請負人から注文者である請求人を経由せず買主に対して直接所有権を移転させたというためには、請負人も含めた三者合意が必要になると解されるが、そのような事実及び証拠は見当たらないこと。
エ.覚書では、物件の所有権移転までの間、物件の所有権移転前に家屋の建物引渡しが行われる旨と記載し、家屋引渡後「所有権移転までの間は」請求人が賃貸借の募集や契約締結を行うと明記していること。

[ 遠藤 純一 ]

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