空き家特例 土地と家屋の相続の仕方に気を付けよう
被相続人が住んでいた家を相続した人が、空き家になったその家を売る場合に適用できる優遇税制として、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」(以下、空き家特例といいます。)があります。この特例の適用をめぐり、祖父母からそれぞれ、家屋と土地を相続して譲渡したケースでトラブルになった事例が最近明らかになりました(令和7年9月9日裁決)。
裁決書によると、祖父が亡くなった際(一次相続)、祖父名義の居住用家屋とその敷地を、祖母と孫であるAさん、その兄の3人で相続した事例です。
ただ、この相続でAさんとその兄が取得したのは敷地の共有持分2分の1ずつと家屋の持分10分の1ずつを取得し、祖母は家屋の持分10分の8を取得していました。次に、祖母が亡くなり(二次相続)、A兄弟は祖母から家屋の持分10分の8を共同で取得し、令和5年7月に家屋の取壊しを実行、同年8月に敷地を譲渡。令和5年分の確定申告後に、空き家特例が適用できるのではないかと考え、申告を訂正する「更正の請求」をしていました。
ところが税務署は、祖母からAさん兄弟が相続したのは、家屋だけであり、敷地は相続していないから、空き家特例の適用はないとして、更正の請求を認めなかったという事例です。
空き家特例は、空き家の実家を譲渡したとき、所定の要件を満たす場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除するというものです。
適用対象は「相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地である土地等(借地権等を含む)」です。
ただし①家屋が区分所有建築物でないこと、②昭和56年5月31日以前に建築されたものであること(旧耐震基準)、③相続開始の直前まで被相続人以外に居住する人がいなかったことの3つの要件を満たすほか、④相続人が被相続人から売った住宅の敷地と家屋両方を取得していることが重要な要件になっています。
税務署は上記④の要件を充たさないとして更正の請求を認めなかったわけです。しかしAさんはこれに不満で、最終的に審査請求に及んだものです。
これに対し、国税不服審判所は、空き家特例の定めた法律(租税特別措置法35条第3項)によれば、「本件特例の対象となる相続人とは、当該相続又は遺贈により被相続人居住用家屋と被相続人居住用家屋の敷地等の両方を取得した相続人に限られ、被相続人居住用家屋のみ又は被相続人居住用家屋の敷地等のみを取得した相続人は同項に規定する相続人には含まれないことは文理上明らかである」から適用はないと判断しています。
おそらくAさん兄弟は、家屋を相続した際にはそれを取り壊し、譲渡するのは敷地だけになると考えていたのかもしれません。
しかしことの初めから、空き家特例の適用を念頭にしているなら、家屋と敷地を一次相続、二次相続でどのように取得するかを慎重に検討する必要があったといえるでしょう。
当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。
