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令和7年前半に財産評価基本通達6項発動事案が2件

2025.08.25

国税庁の相続財産に関する評価のルール(財産評価基本通達)の例外を定めた同通達6項が令和7年5月に2件発動されていたころがわかりました。

これは情報公開により判明したものです。
このほど明らかになった同通達6項の発動事案は、東京国税局と大阪国税局所管の事案でした。
令和4年の最高裁判決以降の最近の発動実績は下表をご覧ください。

相続税等を計算する際の相続財産等の金銭的価値を見積もることが必要です。
この際の原則は、相続税法で取得した時の時価で評価するとされていることです。
財産評価基本通達は、その時価評価をベースに相続財産の評価方法について国税庁が定めたルールです。

例えば路線価は、1年間通して利用されることから、宅地等の価格変動が2割下振れしても耐えられるように、公示地価の8割水準で謙抑的に評価されています。宅地はこれを基に評価します。

同通達6項はその例外で、同評価ルールに従って見積もった評価額とその財産の時価に乖離があって、評価額での申告を認めると過度の節税となるなど「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある」場合には、その財産について適正な時価で再評価、その結果、相続税の追徴等を認める制度です。

国税当局では現在、次のように段階を踏んで同通達6項の適用するかどうかの判断をしています(国税局の上申書「評価通達6項の適用に係る判断枠組み」より抜粋)。

「評価通達6項の「評価通達の定めによって評価することが著しく不適当」であるかどうかは、次のイないしハを総合的に勘案して判断することが妥当と考えられる。

イ評価通達の定める評価方法以外に、他の合理的な評価方法が存在する  か
ロ評価通達の定める評価方法による評価額と他の合理的な評価方法によ る評価額との間に著しい乖離が存在するか
ハ課税価格に算入される財産の価額が、客観的交換価値としての時価を上回らないとしても、評価通達の定めによって評価した価額と異なる価額とするととについて合理的な理由があるか(この場合において、 評価通達の定めによって画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情があるときには、当該合理的な理由があると認められる。)」

財産評価基本通達6項 最高裁判決以降の発動実績
(令和4年4月19日~令和7年6月末)

年分 件数
令和4年 2
令和5年 11
令和6年 4
令和7年 2

[ 遠藤 純一 ]

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