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路線価によらない不動産評価の相続・贈与税申告等件数が判明 令和3事務年度は185件、認容率は71%

2024.10.21

東京国税局が管轄する東京都、神奈川県、千葉県、山梨県の税務署に対し、路線価によらない不動産評価額で相続税や贈与税の申告・更正の請求をした相続人(件数)や認容率が当局の資料から浮かび上がってきました。

これは、相続税や贈与税の①申告、申告を後で減額訂正する②更正の請求に当たって、国税局の算定した路線価に基づかないで不動産の評価を行っている事例のことです。

当局ではこれを路線価等によらない申告等事案と一括して管理しています。

それによると、令和3事務年度(7月1日から翌年6月30日まで)と令和4事務年度の路線価等によらない申告等事案の発生・処理・認容等の動向は次のとおりです(カッコ内は更正の請求)。    

年度 前期繰越 発生 処理 認容 否認 
3事務年度 167(13) 185(16) 169 121(6) 26(14)
4事務年度 188(6) 138(16) 164 148(7) 6(4)

処理された事案の件数に対する路線価等によらない不動産評価が認められた認容件数の割合は、令和3事務年度が約71%、令和4事務年度は約90%となっています。

路線価等によらない申告等が認められるようになったのは、もともとバブル崩壊後の時代に、1月1日時点で算定される地価公示8割の路線価では、年間20%超の地価下落をトレースできないケースが多く見られたことから、国税庁が相続税等の申告に当たり路線価にとらわれないことを国会答弁で明らかにしたことが発端です(参議院大蔵委員会の前畑議員の質疑に対する政府委員(国税庁)の答弁 平成4年3月26日)。

東京国税局では、当局が行う不動産評価への信頼を損なうことがないように「評価額の根拠や路線価等によらないことが相当と認められる特別の事情の有無等を確認して適切に処理する」こととしており、納税者からの個別照会があった場合には、上記の特別の事情等の有無を確認し、「財産評価基本通達の定めや路線価等で斟酌できない特別の事情がない場合には財産評価基本通達等を適用した評価方法を説明する」としています。

[ 遠藤 純一 ]

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