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特定事業用宅地等での小規模宅地等の特例 令和4年に適用件数、相続人数、減額金額とも過去最高

2024.06.27

小規模宅地等の特例のうち、親族等の商売等や、同族会社の事業の用に供している宅地を相続した場合に適用されている件数について、最近、大きな変化がありました。
事業用の宅地を相続した場合に適用できるのは大きく分けて2つのケースがあります。
特定事業用宅地等に該当する場合と、特定同族会社事業用宅地等に該当する場合の2つです。

このうち特定事業用宅地等に該当する場合は、被相続人が行っていた個人事業を引き継ぐ場合と、被相続人と生計を一にする相続人が被相続人の宅地を使って行っていた事業を宅地の相続後も続ける場合があります。減額対象の宅地は最大400㎡までで、減額割合は80%です。

情報公開により明らかになった国税庁に資料によると、特定事業用宅地等の適用状況は次の通りです。

適用件数 相続人数 減額金額(億円)
平成28 3895 4772 371.3
29 3940 4836 374.6
30 3979 4869 372.6
令和1 3758 4571 339.8
2 3565 4354 330.6
3 3855 4749 368.2
4 4100 5068 406.0

平成28年からの6年間では、毎年4千件弱の適用件数がコンスタントにあり、減額金額は300億円台となっています。

ところが令和4年には、初めて適用件数が4千件を突破、適用した相続人の人数が5千人を超え、減額金額も400億円を超えたのです。この値は過去最高です。
一方、被相続人が一定の同族法人の事業に供している宅地として特定同族会社事業用宅地等に該当する場合の適用状況は次の通りです。

適用件数 相続人数 減額金額(億円)
平成28ーー 3345ーーーー 4543ーーーーー 439
29 3332 4613 463.8
30 3398 4674 457.7
令和1 3279 4371 460.6
2 3385 4548 495.5
3 3507 4727 528.7
4 3787 5148 539.5

ここで特記すべきは、令和4年で適用相続人の人数が初めて5千人の大台を超えたことです。さらに適用件数、減額金額とも過去最高を記録しています。

これらは、相続税の対象となる被相続人の人数が増加するのに伴い増えているものと見られ、今後も適用件数等が増加することが予想されます。

[ 遠藤 純一 ]

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