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国税当局が税務調査等でつかむ租税回避スキームの情報収集状況

2024.04.22

税務署や国税局では、「租税回避スキーム等資料せん」を作成し、関係する部署や上級庁に提出・上申しています。

租税回避とは、現行の税法では予定されていなかった通常ではあり得ない複雑な取引・契約方法(法形式)を利用して税負担を不当に減少させることです。

「租税回避スキーム等資料せん」とは、税務調査の企画時や実施時、審理時において、各種税制や複雑な取引・契約を駆使し、現行制度上課税が困難となるような租税回避と見られる状況を作り出している事案を把握した場合に作成される資料です。

東京国税局の資料によると、同局では令和3事務年度(令和3年7月1日から翌年6月30日まで)には、提出件数は83件あり、このうち国税庁から租税回避スキームの疑いがあるとされたのは46件だったということでした。
また、令和4事務年度(令和4年7月1日から翌年6月30日まで)の提出件数は41件だったということです。

一方、大阪国税局の資料によると、同局では同時期(令和3年7月1日から令和5年6月30日まで)の「租税回避スキーム等資料せん」の提出件数は19件で、内訳は所得税4件、相続税3件、贈与税7件、法人税1件、消費税4件でした。

「租税回避スキーム等資料せん」の作成・回付は、事案を集積・分析し、国税当局の他の税目を担当する部署やほかの税務署等に伝えて、このような事案に対し組織的・横断的に対応するためです。

国税庁では上申を受けた事案等から税制改正の提案も行われるといいます。
こうしたことから、国税当局では、事案を把握した場合「租税回避スキーム等資料せん」の作成を励行しています。

[ 遠藤 純一 ]

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