財産評価基本通達6の適用指示は7件に増加 令和5年7月からの下半期で
通常の相続税の財産評価方法とは異なる例外的な評価方法の採用を認める「財産評価基本通達6項」について、令和5年の下半期(7月~12月)の適用状況が情報公開でわかりました。
国税庁によると、3つの国税局から「財産評価基本通達6項」の適用について上申がなされ、国税庁長官が7件の指示を出していました。
適用件数は令和5年上半期の4件から増加しています。
適用の指示があったのは、以下のとおりです。このうち、当初の相続税申告で納税者の一部が再評価対象の株式の評価額を0円としていました。
時期(指示) | 国税局 | 財産の種類・申告時評価等 |
---|---|---|
9月27日 | 東京 | 相続不動産 |
9月27日 | 東京 | 相続不動産2件 |
10月25日 | 高松 | 贈与株式 |
12月8日 | 東京 | 贈与株式・評価額0円 |
12月8日 | 関東信越 | 贈与株式・評価額0円 |
12月8日 | 東京 | 贈与株式・評価額0円 |
12月8日 | 東京 | 贈与株式・評価額0円 |
相続税を計算する場合には、相続財産が金銭価値でいくらになるかを評価する必要があります。国税庁では、評価において公平性を担保し、納税者の負担を軽くするため評価方法を画一的に定めた「財産評価基本通達」を公表するとともに、実務で利用しています。
ところがこの通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる場合も、出てこないわけではありません。
そこでこうした場合に備えて通達の中に例外的に国税庁長官の指示を受けてこの通達の評価方法と異なる評価方法で相続財産を評価する仕組みを置いています。これが「財産評価基本通達総則6項」です。
この通達6項をめぐっては、令和4年4月、最高裁が先例となる判決を下し話題となりました。
同事案は、納税者が借入金で賃貸不動産を買って当初申告で相続税負担を0にしたケースでした。
税務署は総則6項により、鑑定評価額で相続した不動産を再評価しそれに基づき相続税の増額更正処分をしたケースです。
最高裁は、税務署の鑑定評価額による追徴を支持し、納税者の上告を棄却していました。
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