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財産債務調書の不提出等に罰則の創設を国税庁が意見具申

2024.03.11

国税庁が、財産債務調書制度について提出すべき人が不提出だったり、記載内容が虚偽だったりする場合に、罰則を設けるべきとする意見具申を財務省主税局に行っていたことがわかりました。

これは、国税庁が執行を担う立場から税制改正論議に向けて取りまとめている「税制改正意見」の令和6年度版に掲載されていたことから、情報公開により判明したものです。

国税庁の税制改正意見によると、「国外財産調書には規定されている虚偽記載及び不提出に対する割則規定がないため、提出義務者の協力が得られず、十分な財産等の実態解明を行うことが困難となる場合がある。適正に財産債務調書の提出を行っている納税者との間で公平性を損なうことがないよう、制度的対応が必要である」と現状の問題点を指摘、財産債務調書の適正な提出を確保するため、虚偽記載・不提出について、国外財産調書と同様に罰則規定を設ける意見を具申しているのです。

財産債務調書制度は、平成27年度税制改正で財産債務明細書に代わり発足した制度です。提出義務者は、所得税の確定申告書を提出すべき人で、「その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え」、かつ、「その年の12 月31 日においてその価額の合計額が3億円以上の財産」又は「1億円以上の国外転出特例対象財産」を有する場合です。

財産債務調書には、財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載することとされていました。

また、この調書を提出する義務のある人が調書を出さなかったり、記載漏れがあった財産・債務に起因する所得税や相続税の修正申告等をした場合には、それに基づく本税額の5%の加算税の加重を行うことになっています。

反対に同調書を提出期限までに出していたケースで、記載された財産・債務に起因する所得税や相続税の修正申告等をした場合には5%の軽減がなされる仕組みです。

令和4年度税制改正では、提出義務者に、その年の12月31日で、合計10億円以上(以下、10億円以上基準)という)の財産を保有する人も対象とされたほか、提出期限はその年の翌年の 6月30日までとされています(令和5年分から)。

財産債務調書の提出実績は次のとおりです(国税庁まとめ)。

事務年度 提出件数
平成30 82,056件
令和1 80,486件
令和2 81,558件
令和3 83,304件

[ 遠藤 純一 ]

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