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住宅の譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例の適用動向 減少傾向だが、各地の地価事情等により増加の動きも

2024.01.29

住宅の譲渡損失をカバーする譲渡所得税の特例には次の2つがあります。

居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(租税特別措置法41条の5)と、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(同法41条の5の2)です。
この制度は不動産の値下がりによって含み損を抱えたマイホーム所有者の「損切り」を推し進めることで、住宅買い換えの後押しを狙いとして登場しました。

制度の仕組みは、マイホームを売却して出た損失額がある場合、給与所得などと損益通算でき、損失額が給与所得などを上回り、その年の所得が赤字になった場合、赤字を翌年以降3年間繰り越すというものです。

最近の上記2つの特例の適用件数状況は次のとおりです。

事務年度平成29 平成30令和1令和2令和3
41条の5 6367 5522 4971 4585 4160
41条の5の2 538 428 375 336 341

直近の令和3事務年度のデータによると、買い換え型の41条の5は前年に比べ減少、売り切り型の41条の5の2は微増となっています。
売り切り型の41条の5の2は大阪、仙台、札幌国税局管内の適用件数が、前年に比べ増加していました。

なお、政府の令和6年度税制改正大綱では、上記の2制度は適用期限が2年延長されることになっています。

[ 遠藤 純一 ]

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