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新築家屋の固定資産税評価が改正 適用は令和6年度から

2023.12.25

固定資産税を計算する場合の家屋の評価額を算定する基準が見直され、令和6年度から適用されます(総務省告示第247号)。

今回の見直しは、1家屋の用途区分の整理、2各用途区分の標準仕様を構成する部分別区分の見直し、3標準仕様の建築資材等の標準量の見直し、4標準量に対する工事費をもとに算出される標準評点数の適正化(近年の資材価格高騰の影響緩和)です。
家屋の固定資産税評価額は、課税対象の家屋を同じように新築するとしたらいくらになるかを求めて、築年数に応じた減価、その他必要に応じた減価の補正をすることで算定します。実際には家屋の構造や用途により区分し、区分ごとに用意されている再建築費評点基準表に基づき、柱、屋根、天井、床などの仕上げ、設備などの所定の部分について、材質の違いや個数、大きさなどで調整した再建築評点数をつけ、その積算値をもとに単位当たりの再建築評点数を求め、これに床面積と建築後の年数に応じた経年減点補正率等の補正率と、評価の年の評点1点当たりの価額を乗じて評価額を求めます。

今回の1の改正は、木造家屋について専用住宅用建物など13種類の家屋の区分を7種類に整理統合したほか、非木造家屋についても整理統合を行っています。
次に2の改正は各家屋の柱・屋根などの部分別区分を見直しました。
また3の改正で、それぞれの標準的な家屋の建築に必要な資材量の積算結果から算出される「単位当たり施工量(=標準量)」を見直すのに伴って、標準量に対する工事費を基礎とした標準評点数を改正しています。
標準評点数は、令和6年の賦課期日(1月1日)の1年半前の価格調査基準時点の建築資材価格動向の影響を受けます。ロシアのウクライナ侵攻等による木材・鉄鋼などの資材価格の暴騰がそれです。
その後、賦課期日現在である程度、価格高騰が沈静化したため、令和6年の家屋の評価額を求めるデータとして適当ではないと考えられます。このため、4の改正で特殊事情による価格暴騰の影響を補正することになりました。

令和6年度は、3年に一度行われる固定資産税評価額の「評価替え」の年に当たります(地方税法(以下、法という。)341条6号、409条)。評価替えでは、市町村長等が固定資産評価基準によって新たな評価額を決定(法403条、410条)、その評価額を固定資産課税台帳に登録することになります(法411条)。
既存の家屋については評価額の据置措置があるため(固定資産評価基準第2章家屋第4節経過措置)、今回の見直しは令和5年1月2日から同6年1月1日までに竣工した新築家屋等に影響が出る見通しです。
具体的には、第一に新築家屋等の固定資産税等の税額に影響するでしょう。

基本的には評価額を課税標準額として(法349条)、それに税率(標準税率1.4%、法350条)を乗じて算出された税額を納税することになります。
第二に固定資産税のほか、固定資産税評価額を課税標準とする都市計画税の税額が従来の予想を上回れば新築賃貸不動産の収支にも影響が出るでしょう。評価額が適正でなければ、固定資産税等を払い過ぎる恐れも出てきます。

また、第三に相続税における家屋の財産評価でも、固定資産税評価額がベースですので(財産評価基本通達89)、評価額が適正でなければ、相続税を払い過ぎる可能性も出てきます。
もし不当に高すぎると思われる場合には、家屋の固定資産税評価に詳しい専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。評価額に対し不服がある場合には、原則として評価替えの基準年度に審査申出するチャンスがあるからです(法432条)。

[ 遠藤 純一 ]

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