Topics
TACTトピックス

令和3年分農地の相続税の納税猶予 適用の農業相続人は5年ぶり1,400人超

2023.06.26

国税庁の直近のデータである令和2事務年度の資産税の資料によると、「農地の相続税の納税猶予及び免除等の特例(租税特別措置法70条の6)」による新規の適用対象の被相続人が1,281人を記録し、前事務年度に続き増加となりました。

令和3事務年度(令和3年7月1日から令和4年6月30日まで。なお各事務年度とは7月1日から翌年6月30日までの1年間。)において農地の相続税の納税猶予制度を利用し、新たに農地を相続した相続人も1,476人となり、5年ぶりに1,400人を超えました。

このうち、東京国税局管内では、納税猶予の対象となった農業相続人が410人(前事務年度比15.2%増)、大阪国税局管内では同農業相続人が414人(同11%増)、名古屋国税局管内の同農業相続人は261人(同10.1%増)と大都市圏を含む地域で、増加傾向が見られます。

コロナ禍の影響もあって、路線価は前年に比べ弱含みで、大都市圏は下落傾向を見せているのに、相続税の申告をした人が約16万9千人と、前年の約15万3千人より1万人以上増加していることが、農地の納税猶予の新規適用の農業相続人等の増加の背景にあると推測されます。

「農地等の相続税の納税猶予及び免除等の特例」は、相続人が相続した農地で農業を続けること等を条件に農地にかかる相続税の納税が猶予される制度です。猶予される税額は農地の価額のうち、恒久的に農業の用に供されるとした場合に通常成立すると認められる取引価格とされる農業投資価格を超える部分の価額に対応する相続税額です。

農地を売却したりなどすると、納税猶予が打ち切られ、猶予された相続税の全部又は一部と利子税の納付が求められます。

[ 遠藤 純一 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。