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固定資産税が大増税 寄宿舎からホテルへの転換で

2022.11.28

都内で約400平米の土地の上に寄宿舎を持っていた人(納税者)が、令和2年末に民泊(ホテル)に転換したところ、納税者によると令和3年度の固定資産税等が2倍以上も上がった事例が出てきました(東京都裁決、令和4年4月18日)。

寄宿舎は、食堂やふろ場などの共同施設と居住部分がある建物で、住宅と同様に「人の居住の用に供する家屋」のカテゴリーに含められる建物です。
このため、その敷地は「住宅用地」に該当し、その課税標準は住宅1戸当たり200平米まで6分の1になる固定資産税の住宅用地の課税標準の特例(都市計画税は3分の1、以下、併せて住宅用地の特例という。)の適用が受けられます。
しかし、ホテルとなると、建物は「人の居住の用に供する家屋」ではなくなるため、「非住宅用地」として、住宅用地の特例の適用は受けられなくなります。
この結果、土地の固定資産税等の負担は数倍に増税されてしまうのです。

裁決書によると、所有者が民泊に転換した令和2年末に、すかさず東京都の課税部門が実地に調査し、建物にホテル等の営業を示す看板があることを確認。
さらに所在地の区役所HPの「旅館業許可一覧」で当該ホテルが掲載されていたことも確認しました。

東京都はこうしたことを受けて、令和3年度の固定資産税等については、敷地について住宅用地の特例の適用を見送って賦課したところ、所有者が審査請求で不服を申し立てたということです。
しかし、その審査請求の書面で所有者は公然と民泊を行っていることを自認していたことから、裁決は住宅用地の特例の適用をせずに賦課した東京都に軍配を上げています。
現在国内では、コロナ禍の規制が緩められ、観光需要喚起による景気底上げの施策が行われています。
それを横目に、住宅などを民泊などへ転換する動きも見られますが、住宅用地の特例の不適用による固定資産税などの保有コスト上昇が伴うことがあります。
施設の運用は計画的に行いたいものです。

[ 遠藤 純一 ]

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