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東京都、固定資産税評価で土壌汚染は減価せず

2022.10.11

土壌汚染のある住宅地の固定資産税評価について、納税者が東京都に土壌汚染対策費用分の減額を求めたことに対し、東京都固定資産評価審査委員会は住宅地として使用されており減額しないことが合理的だとして納税者の審査申出を退けていたことがわかりました(令和3年12月3日)。

決定書によると、財産分割のため納税者は鑑定評価を実施したところ、保有する住宅地に土壌汚染があることがわかり、土地評価額が著しく下がったとして、令和3年度の固定資産税評価から土壌汚染対策費用分の減額を求めて固定資産評価審査委員会に審査申出をしたものです。

審査した固定資産評価審査委員会(以下、委員会といいます。)は、まず納税者からの申出に対し固定資産評価基準に基づいて、評価額に対する減価の必要性について検討し、次の理由から委員会は「固定資産の評価においては、土壊汚染対策費用を減価要因として価格に考慮することは、適当ではない」と判断しました。

(1)土壌汚染対策法の考え方では、土壌汚染の浄化責任は土地所有者等にあること
(2)汚染の除去等の措置が士地所有者等によって講じられた揚合には、土地所有者等は汚染原因者に対して、当該措置に要した費用を請求できる。このように、土壌汚染対策費用は、本来当事者間の問題と考えられていること

また、土壌汚染に係る心理的嫌悪感等の影響による減価について委員会は、「客観的なデー夕によって定型的に減価できる要素であるとは言い難く、固定資産の評価に当たり、減価要因として扱わないことは不合理であるとは言えない」と判断。

さらに問題の土地の土壌汚染が、昭和年代に近隣工場の汚染物質不法投棄で引き起こされ、当時、汚染処理の恒久処理が行われ、現在は住宅地として利用されていることから、「価格事情が特に著しい影響があるとは認められず、特別の価格事情に見合った所要の補正による減価を行わないことに合理性がある」として納税者の申出を棄却しています。

[ 遠藤 純一 ]

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