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令和2年分農地の相続税の納税猶予 適用の農業相続人は都心部で増加へ

2022.07.25

国税庁の直近のデータである令和2事務年度の資産税の資料によると、「農地の相続税の納税猶予及び免除等の特例(租税特別措置法70条の6)」による新規の適用対象の被相続人が1,263人を記録し、過去最低だった前事務年度の1,200人から一転増加となりました。

令和2事務年度(令和2年7月1日から令和3年6月30日まで。なお各事務年度とは7月1日から翌年6月30日までの1年間。)において農地の相続税の納税猶予制度を利用し、新たに農地を相続した相続人も1,373人となり、これも持ち直しています。

このうち、東京国税局管内では適用対象の被相続人が354人(前事務年度比14.2%増)、農業相続人が356人(同6.6%増)、大阪国税局管内では適用対象の被相続人が328人(同8.3%増)、農業相続人が373人(同9.7%増)と大都市圏を含む地域で、増加傾向が見られます。地価の上昇と何らかの関係があるのかもしれません。

一方、納税猶予額の免除となった件数は4,522件(同0.9%減)、納税猶予の全部打切りが331件(同0.9%増)、一部打切りが471件(同8.8%増)となっていますが、事務年度末に納税猶予が継続し、管理されている件数は4万7,342件、継続中の納税猶予金額は2兆757万円余り(同3.9%減)となりました。

「農地等の相続税の納税猶予及び免除等の特例」は、相続人が相続した農地で農業を続けること等を条件に農地にかかる相続税の納税が猶予される制度です。猶予される税額は農地の価額のうち、恒久的に農業の用に供されるとした場合に通常成立すると認められる取引価格とされる農業投資価格を超える部分の価額に対応する相続税額です。農地を売却したりなどすると、納税猶予が打ち切られ、猶予された相続税の全部又は一部と利子税の納付が求められます。

[ 遠藤 純一 ]

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