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もう1つの評価通達6適用事案最高裁、4月19日に棄却決定

2022.05.16

事実上、相続税を0にする節税策の是非が問われた最高裁の裁判が注目されています。
これは財産評価基本通達6により通達評価ではなく鑑定評価額による税務署の追徴が適法かどうかをめぐり争われたものですが、この判決については前回触れました。
実はそれとは異なるもう1つの事案についても、最高裁は納税者からの上告を棄却していたことが分かりました。

この事案は、相続直前に15億円の賃貸住宅をフルローンで購入し相続税対策を行い、財産評価基本通達通に基づき約4億7千万円と評価して申告したところ、税務署から賃貸住宅の鑑定評価額10億4千万円との間に大きな乖離があり、特別な事情があると認められるとして相続税につき鑑定評価額で更正処分をされて争いになった事件(東京高裁令和3年4月27日判決)の上告審です。

東京高裁は、「不動産の購入及びそのための借入は3億円を超える相続税の圧縮効果を生じさせるものであるところ、相続人がかかる相続税の圧縮を認識しこれを期待して15億円を借り入れ、本件不動産を購入したことは租税負担の実質的な公平という観点から見た場合、本件通達評価額によらないことが相当と認められる特別の事情を基礎づける事実にあたるというべき」と認定、地裁に続き税務署の鑑定評価による追徴を支持していました。

最高裁は4月19日、納税者側の提出した上告理由では、上告は認められないと判断しました。
これにより東京高裁の判断が維持され、財産評価基本通達6の適用が支持された事例がまた一つ増えることになりました。

[ 遠藤 純一 ]

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