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最高裁が評価通達6の適用巡り判決、鑑定価額での評価は適法

2022.04.27

最高裁は4月19日、相続した賃貸不動産の評価額について、通常の通達評価ではなく評価通達6により鑑定評価額で、税務署が更正処分等をしたことが違法かどうかで争われた裁判で、納税者敗訴となった二審(東京高裁)の判断を支持し、納税者サイドの上告を棄却しました。

二審は、納税者が相続税を0にする対策を講じたことなどについて「特別の事情がある」として、通常の通達評価以外の鑑定評価額による相続税の増額更正処分等が認められたものです。

最高裁が3月15日に弁論を再開したため、納税者敗訴の判断が覆る可能性に期待がかかりましたが、これで、納税者の敗訴が確定しました。

この事案は、借入で8億3700万円と5億5000万円の賃貸不動産を購入し、相続税の申告では2つの不動産につき合計3億4000万円と評価して、相続税負担を0にしていたものですが、税務署から、鑑定評価額により合計12億7300万円と再評価され更正されたケースです。

最高裁は「相続税の課税価格に算入される財産の価額について、評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には、合理的な理由があると認められるから、当該財産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するものではない」と問題を整理しました。

そして、この事案では、対策で相続税額が0になること、近い将来発生することが予想される被相続人からの相続において納税者らの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて対策を企画して実行したと指摘。

最高裁は前記の理屈を当てはめると「実質的な租税負担の公平に反するというべき(中略)したがって、本件各不動産の価額を評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることが上記の平等原則に違反するということはできない」として、鑑定評価額による評価は適法だと判断しています。

[ 遠藤 純一 ]

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