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複数の不動産を一括して共有物分割した場合の不動産取得税

2022.04.11

最高裁は3月22日、複数の不動産について、一部土地を単独所有とするなど、一括して共有物分割をした場合の不動産取得税について、課税庁サイドの取扱いを支持する判決を下しました。

具体的には、非課税と扱われる共有物分割であっても、課税対象となる持分超過分の有無や金額については、個々の不動産ごとに分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきというものです。

不動産取得税の共有物分割に関する非課税規定は、「次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない」(地方税法73条の7第1項)として同項2の2で「共有物の分割による不動産の取得(当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得を除く。)」とされています。つまり分割後に持分超過分の取得があれば、不動産取得税の課税対象というわけです。

裁判で問題となっていたのは、共有物の分割により上告人である納税者が、各土地の各持分10分の9を取得したことにともない、課税庁から数百万円の不動産取得税を課されたこと。

納税者は、複数の不動産を一括して共有物分割をしたので、不動産取得税を課すことができないはずだと主張し、争いになっていたものです。

争点は、複数の不動産を一括して共有物分割した場合の持分超過部分の有無及び額の判断の方法です。

最高裁は、「不動産取得税に関する地方税法の規定の内容等に照らせば、同税は、個々の不動産の取得ごとに課されるものであるということができる」と指摘。その上で最高裁は、最終的に「複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における持分超過部分の有無及び額については、分割の対象とされた個々の不動産ごとに、分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきものと解するのが相当」と判断しています。

[ 遠藤 純一 ]

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