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配当期待権の相続税評価

2022.03.28

配当期待権とは、配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの聞における配当金を受けることができる権利とされています(財産評価基本通達167)。

そしてその配当期待権の相続税評価は、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から当該金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額(特別徴収されるべき道府県民税の額に相当する金額を含む)を控除した金額によって評価することになっています(財産評価基本通達193)。

ここで最近、基準日に株主であっても、株主総会で、余剰金の配当をするかどうかや、いくらを配当するかを決めていないので、「基準日株主の配当期待権は具体的権利でなく」、相続財産とはならないのではないかと、審査請求で疑問を突き付けた納税者がいました(国税不服審判所令和3年9月30日)。

しかし審判所は、「相続税の課税対象となる「財産」とは、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいい、いまだ明確な権利とはいえない財産法 上の法的地位なども含まれること、配当期待権は、剰余金の配当決議を条件とするものの、将来の剰余金配当を目的とするものであって財産的価値を有し、金銭に見積もることができる」と指摘、結局、配当期待権は相続税のかかる相続財産だと認めています。

[ 遠藤 純一 ]

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