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浄化槽や建物の基礎などの埋設物が残った土地の相続税評価 撤去費用は控除できるかで争った裁決事例

2022.03.15

浄化槽や建物の基礎が残ったままの土地の相続税評価にあたり、基礎等の撤去費用が控除できるかどうかで争にになった裁決事例がありました(令和3年9月8日)。

問題の約400㎡強の土地は、被相続人が配偶者から以前相続していたもので、もともと未登記の建物が建っていました。しかし平成24年以取壊した後、同族会社に従業員の駐車場などとして貸し付けられていたものです。

この土地を取得した相続人らは当初申告の後、約2500万円の土地の評価額から基礎等の撤去費用の8割約830万円等を控除して修正申告したところ、税務署が控除を認めなかったという事例です。

国税不服審判所は、財産評価基本通達でその財産の価額に影響を及ぼすべき、すべての事情を考慮する旨定められていることを確認。

その上で審判所は、財産評価基本通達で財産の現況に応じて評価する旨定められていることを踏まえ、問題の土地は、「相続開始日において、車両が通行するには支障がない状態であり、現に、同族関係法人に賃貸され、従業員用の駐車場として利用されていたことが認められる。そして、当審判所の調査によっても、基礎等の存在が、土地の利用価値を毀損しているとは認められない」としました。

また、審判所は次のような指摘をして、基礎等の存在は、客観的なその土地国有の事情(「その財産の価額に影響を及ぼすべき事情」)には該当しないとして、撤去費用相当額を控除すべき理由はないと判断しています。

1、基礎等の撤去を義務付ける等の法令の規定はなく、公的機関から撤去の指示等もされていない状況にあること

2、相続開始日において、請求人(相続人)らの意思、行為等によって、基礎等を撤去することも残置することもできる状況にあったこと

[ 遠藤 純一 ]

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