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駐車場めぐる個人事業税の争い 東京高裁も納税者に軍配 東京都、取扱いを変更

2021.10.25

コインパーキング業者に土地を貸した地主が「駐車場業」を営んでいる者に該当するかどうかで争われた裁判で、東京高裁は8月26日、一審に続き(本欄3月29日参照)、「駐車場業に当たらない」と判断、納税者に軍配を上げました。

この事件は、コインパーキング業者に駐車10台可能な土地を貸付けていた個人の地主が、平成28年分から平成30年分までの所得税等につき、収入を不動産所得として申告をしたところ、東京都から都の事業税に関する事務提要に基づき地主が個人事業税の課税対象となる「駐車場業」を行う者に該当するとして、個人事業税の賦課決定処分を受けたことから、その取消を求めて争われていたものです。 

一審の東京地裁は、地方税法上、「駐車場」の内容のほか、「事業」自体の意義についても一般的に定義規定が置かれていないため社会通念に従ってこれを判断するほかはないとして、「駐車場業」について「対価の取得を目的として自動車の駐車のための場所を提供する業務を自己の計算と危険において、独立して反復継続して行うものであることを要する」と解釈。
これに事例を当てはめて「地主は土地を定額で貸付けているに過ぎない」、「対価の取得を目的として自動車の駐車のための場所を提供する業務を自己の計算と危険において、独立して反復継続して行うものであると評価することはできない。従って資産家は駐車場業を行うものに該当しない」と判断していました。

東京高裁は、一審判決の判断の枠組みに基づく駐車場業についての「認定判断は、その手法も含め相当であると認められる」として、1審判決を支持しました。
これに伴い東京都は、個人事業税のかかる駐車場に関する認定基準を変更しました。

[ 遠藤 純一 ]

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