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令和の企業組織再編税制事前照会案件の件数動向

2021.11.09

「企業組織再編税制」の適用等に関し納税者サイドから国税局に対して事前照会を行うことができます。こうした事前照会の令和元年以後の推移は、次の通りです。

令和元事務年度令和2事務年度
新規受理 220 168
回答 221 155

これは、国税庁が国税局等への事前照会事案の処理状況をまとめた内部資料情報公開したことによりわかったものです。平成30事務年度(平成30年7月から令和元年6月末まで)は、新規受理、回答件数とも200件越えでした。

令和元事務年度も上記のとおり新規受理・回答件数とも200件越えを記録しました。それに比べ令和2年事務年度は、平成28年事務年度以来の100件台の落ち着いた件数となりました。適格合併でも繰越欠損金のみの引継ぎだけの再編については、組織再編税制に係る行為・計算否認規定の適用があるとする判決が最高裁で確定していることもあり、事前照会制度の利用は衰えていないようです。

事前照会とは、納税者が「実際の取引」や「事実関係」に対する税務上の取扱いがどのようになるかについて税務署・国税局へ文書等により質問を行うことです。

企業組織再編税制は、会社分割制度等を規定した平成12年改正の商法(当時)の施行に伴って導入された税制。会社の合併、会社分割などの事案が、税制上適格再編の要件を満たす場合には企業保有の資産の譲渡益を繰り延べ、税制上適格再編の要件を満たさない場合には、企業の資産について時価で譲渡されたものとして扱われます。事例によっては取扱いが難しくなるため、国税当局は当初から納税者の便宜のため事前照会を受付けて、回答する運営体制をとってきたものです。

[ 遠藤 純一 ]

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