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最新裁決 標準地評価に騒音が加味なら10%評価減なし

2021.10.12

土地9筆を相続した納税者が、近くの鉄道からの騒音で住宅地としては利用価値が著しく低下しているとして10%減額を求めて審査請求をしていた事案で、国税不服審判所は、路線価算定の元になった標準地の評価に騒音が考慮されているため10%評価減の必要はないとする裁決を下していたことが分かりました(令和3年5月26日裁決)。

10%の評価減が認められているのは、①から④のようなケースです。
①道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
②地盤に甚だしい凹凸のある宅地
③震動の甚だしい宅地
④上記①から③までに掲げる宅地以外の宅地で、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるものです。

ただし、路線価、固定資産税評価額又は倍率が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には同取扱いはありません。

裁決書によると納税者は「鉄道の騒音により、線路沿いの路線価はそうでない路線価よりも低くなるにもかかわらず、(相続土地に関わる)各路線価の多くが線路沿いのものとそうでないものとで同額になっていることからすれば、各路線価は、鉄道の騒音による影響を考慮して設定されたものとは考え難い」と不服を主張しました。

しかし審判所は、路線価算定の元になった「標準地」(路線価算定のため選定された土地)の評価について、担当した不動産鑑定士への調査等から、住宅用途のエリアでは「鉄道の騒音による減価を考慮するなどして各精通者意見価格を算定したことが認められる」と認定しました。

結論として審判所は「各路線価が鉄道の騒音による影響を考慮して設定されていないということはできないし、現に、鉄道の騒音により付近にある他の宅地と比較しでもなお本件各土地の利用価値が著しく低下し、その取引金額に影響を及ぼすような事情があるということもできない」として納税者の請求を棄却しました。

[ 遠藤 純一 ]

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