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農地の相続税の納税猶予 適用の農業相続人の減少続く

2021.08.30

国税庁の直近のデータである令和元事務年度の資産税の資料によると、「農地の相続税の納税猶予及び免除等の特例(租税特別措置法70条の6)」による新規の適用件数が1,200件を記録し、過去最低となりました。

令和元事務年度(令和元年7月1日から令和2年6月30日まで。なお各事務年度とは7月1日から翌年6月30日までの1年間。)において農地の相続税の納税猶予制度を利用し、新たに農地を相続した相続人も1,327人となり、これも過去最低を更新しました。

一方、納税猶予額の免除となった件数は4,563件、納税猶予全部打切りが328件となっていますが、事務年度末に納税猶予が継続し管理されている件数は5万822件、継続中の納税猶予金額は2兆1603万円余りとなりました。

このうち、東京都心部、神奈川を擁する東京国税局管内では、猶予税額の全部確定、一部確定とも税額にして前事務年度比10%以上の増加を記録したほか、さいたま市等を擁する関東信越国税局管内でも、猶予税額の全部確定・一部確定が税額比10%以上の増加を記録しています。2022年問題が喧伝される中で、売却等の選択をする納税者が出てきているのかもしれません。

「農地等の相続税の納税猶予及び免除等の特例」は、相続人が相続した農地で農業を続けること等を条件に農地にかかる相続税の納税が猶予される制度です。猶予される税額は農地の価額のうち、恒久的に農業の用に供されるとした場合に通常成立すると認められる取引価格とされる農業投資価格を超える部分の価額に対応する相続税額です。農地を売却したりなどすると、納税猶予が打ち切られ、猶予された相続税の全部又は一部と利子税の納付が求められます。

[ 遠藤 純一 ]

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