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仕様が住宅でも事業所としての貸付契約で固定資産税が高くなった事例

2021.03.08

建物の仕様が住宅でも、第三者に貸し出すときに事業用として貸す契約をすると、建物の敷地が固定資産税の安くなる「住宅用地」に該当しない...そんな内容の裁決が東京都でありました(令和2年7月13日)。

住宅用地の課税標準の特例(地法349条の3の2、702条の3)は、1月1日(賦課期日)において、住宅の敷地になっている土地に適用があるものです。特例の内容は、たとえば200㎡までの土地については課税標準を評価額の6分の1(都市計画税は3分の1)とされます。それが認められないとなると、大幅な税額アップになります。

事案の概要

問題となったのは3階建ての建物で、納税者は2階3階部分に住んでいましたが、平成26年に転居に伴い第三者に店舗として貸すことにしました。2階・3階は休息室としての利用になったそうです。
そこへ平成30年になって都税事務所(東京都)が調査に入り、利用状況を確認するため固定資産税の住宅用地等申告書や、契約書の写しの提出等を求めたため納税者は書面を送ったといいます。

都税事務所は書面や現地調査で「住宅以外」の利用状況であることがはっきり分かったため、平成27年から30年分につき固定資産税が安くなる「住宅用地」ではない非住宅用地として税額を再計算し追徴しました。
このため納税者は、建物が居住用か否かは居住可能な状況にあるか否かで判定すべきとして審査請求で争ったものです。

裁決の内容

東京都は審査会の審理に基づき、納税者の言い分を認めませんでした。ポイントとなったのは、「住宅用地」の認定に関する以下の旧自治省の取扱いです。

具体的には「人の居住の用に供する」とは、「特定の者が継続して居住の用に供すること」をいうとされ、また「賦課期日において現に人が居住していない家屋については、当該家屋が構造上住宅と認められ、かつ当該家屋(併用住宅にあっては、当該家屋のうち居住部分とする。)が居住以外の用に供されるものではないと認められる場合には、住宅とする。」とされています(平成9年4月1日自治固第13号自治省税務局固定資産税課長通知「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」)。

審査会は、問題の家屋が住宅以外に変更されており、貸付契約が店舗として貸し出す内容であることから、「専ら人の居住の用に供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地」には該当しない」と判断しています。

[ 遠藤 純一 ]

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