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路線価のない行き止まり道路に面する土地評価で争い 審判所、税務署の特定路線価に基づく評価を支持

2021.01.25

路線価のない行き止まり道路の奥にある約400㎡の土地の評価額の多寡をめぐって、納税者と税務署が争った事例がありました。国税不服審判所は令和2年8月21日、行き止まり道路に特定路線価を付設して行った税務署の評価方法を支持する裁決を下しました。

特定路線価とは、路線価方式により評価する地域内において、路線価の設定されていない道路のみに接している宅地を評価する必要がある場合には、その道路を路線とみなしてその宅地を評価するための特定路線価を納税義務者からの申出等に基づき設定できるとされています。その算定方法は、特定路線価を設定しようとする道路に接続する路線やその道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、問題の道路の状況、評価上の地区の別等を考慮して税務署長が1㎡当たりの価額を求めることになっています。

裁決書によると、問題になった土地は、北西から南東にぬける幅員4メートル弱の道路(以下、接続路線という。)から東方向に入っていく行き止まりの建築基準法42条2項道路(長さ35m、幅員約4m弱、以下2項道路という。)の奥にある土地でした。

納税者は、この接続路線に付けられた路線価(45万円)を基に接続路線と問題の土地の位置関係から画地調整して評価額を求めて申告していました。しかし税務署は、この2項道路に特定路線価を付けて評価した方が合理的だとして、これを基に更正処分等をしたことから、争いとなったものです。

争点は、問題の土地について、特定路線価に基づき評価すべきか、それとも接続路線価に基づき評価すべきか、というものです。

国税不服審判所は「接続路線価に基づく方法は、本来、接続路線に面する宅地を評価する方法であるから、(中略)その位置関係が遠くなるほど合理性は逓減する」とした一方、「特定路線価に基づく方法は、特定路線価が、これを設定しようとする道路の接続路線及び当該道路の付近の路線に設定されている路線価を基に、当該道路の状況、評価しようとする宅地の存する地区の別等の各比準要素を考慮して評定されるものであることから、付近の宅地の価額とのバランスを失することのないように評価することのできる、より合理的な評価方法」と認めました。

当てはめでは、税務署の評価方法について次のようなことを確認して税務署の評価方法を支持しています。

  • 2項道路に固定資産税路線価(30万6千円)が付けられていたこと
  • このため特定路線価を設定する道路と当該道路に接続する路線の固定資産税路線価(33万円)の格差により特定路線価を評定する取扱いを適用していること
  • 接続路線の路線価45万円に接続路線の固定資産税路線価に対する2項道路の固定資産税路線価の割合(格差率92.7%)を乗じて求めた特定路線価の値を42万円としたこと
  • 土地価格比準表により行う個別的要因の比較により接続路線に接する土地と問題の土地の格差率を検証したところ、格差率は93.6% ないし94.5%であり、固定資産税路線価の格差と近似していること
  • 特定路線価による評価が不合理と認められる特段の事情は認められないこと。

[ 遠藤 純一 ]

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