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固定資産を「現に所有する者」の申告制度について

2020.03.23

令和2年度税制改正で、固定資産税に新たな申告制度が創設されます。このうち、所有者不明土地等に係る課税上の課題への対応として、たとえば相続登記未済の不動産については市町村による固定資産税の賦課・徴収を円滑に進めるため、「現に所有する者」に住所氏名等の申告を求め、不申告の際に過料が科される制度が整備されることになりました。

現行制度では、土地又は家屋の固定資産税の納税義務者については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者が納税義務者となるのが原則(地法343第2項)。

課税されるかどうか決められる基準日(賦課期日)である1月1日前に、所有者として登記等されている人が亡くなっている場合には、その土地や家屋等を「現に所有する者」が納税義務を負うことになっています(同条2項後段)。

しかし、市町村等が「現に所有する者」を特定することがむずかしい案件も多いのが実情です。このため市町村等は条例により「現に所有する者」に対し、固定資産の「現所有者であることを知った日の翌日から3月を経過した日以後の日までに、当該現所有者の住所及び氏名又は名称その他固定資産税の賦課徴収に関し必要な事項を申告させることができる」規定が創設されます(改正地法384条の3)。

しかも申告を促すため不申告の際に過料が科される制度になりました。

現行制度上、償却資産や住宅用地の申告に関し「虚偽の申告をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」(地法385)とされ、「正当な事由がなくて申告をしなかった場合においては、その者に対し、当該市町村の条例で10万円以下の過料」を科すとされています(地法386)。

この罰則・過料の制度がそのまま、「現に所有する者」の場合にも適用される改正となっています。

上記制度は令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に「現に所有する者」であることを知った者に適用することとされます。

[ 遠藤 純一 ]

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