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土壌汚染対策の指導で工事遅れ 住宅建替えで固定資産税トラブル

2020.02.10

住宅の建替え工事着工が土壌汚染対策法に基づく指導、対策で遅れ、固定資産税・都市計画税(以下固定資産税等という)のトラブルになった事例が出てきました(東京都裁決、令和元年9月3日)。

固定資産税等の住宅用地の課税標準の特例(地方税法349条の3の2、702条の3)は1月1日(賦課期日)において、住宅の敷地になっている土地に適用があります。特例の内容は、たとえば200㎡までの土地については評価額を6分の1、都市計画税は3分の1)にして課税標準とされます。1月1日時点でその土地に住宅がない場合でも、一定の要件を満たす住宅の建て替えが行われている場合には、「住宅用地」として扱われます。具体的には、以下の取扱通達等にある認定基準を満たす場合、住宅用地として取り扱われます。

1 当該土地が、当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。

2 当該土地において、住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており、当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること。(以上「住宅建替え中の土地に係る固定資産税及び都市計画税の課税について」平成6年2月22日付自治固第17号より本事例に関係する部分を抜粋)。

3 なお、東京都の新築工事着手の認定基準の取扱いでは「当該年度に係る賦課期日において、建築主事又は指定確認検査機関が住宅の新築に関する確認申請書を受領していることが受領印等により確認でき、かつ、当該年度に係る賦課期日後の3月末日までに住宅の新築工事に着手している場合には、これに含めて取り扱う」となっていること

裁決書によると、問題になったのは平成29年暮れに建物を取壊して更地にした約180㎡の土地でした。もとはクリーニング店併用住宅だったこともあり、納税者が提出していた下水道法の特定施設使用廃止届に基づいて、東京都環境局が納税者に対し土壌汚染状況調査をするよう求めました。調査の結果、土壌汚染が認められたため、同環境局は同地を土壌汚染対策法上の形質変更時要届出区域に指定。納税者は汚染土壌の区域外搬出などを済ませるなど対策するのに翌年8月までかかったことから東京都の基準である3月末日までにも住宅の建替え工事に着手できなかったため、東京都に住宅用地の課税標準の特例の適用を求めて審査請求しました。

審査請求の結果は、請求棄却。審査した審査会は「土壌汚染対策法の規定に基づき汚染土壌の浄化を求められ、その ために新築住宅の建築工事の着手までに時間を要したとしても、法令上専ら住居の用に供するための特別の対策が実施された等の特段の事情がない本件においては、住宅特例に係る規定の拡張的な適用をすることはできないものと解せられる」としています。

[ 遠藤 純一 ]

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