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贈与税の配偶者控除の現在

2019.08.05

贈与税の配偶者控除について、平成29年分の適用者数が最近の9年間で、最も少ない1万579人だったことが、国税庁の統計からわかりました。

「贈与税の配偶者控除」とは、20年以上連れ添った夫婦間の贈与で認められている優遇税制として知られている制度です。住宅(居住用不動産)やそれを取得する金銭をもらった場合、贈与税の計算上、贈与された住宅の評価額や金銭などの課税価格から基礎控除110万円のほかに最高2,000万円控除できるというものです。

ポイントは、住宅やその敷地をもらった場合には、もらった翌年の3月15日まで住宅に入居し「その後引き続き住み続ける見込みである場合」に限って、この「贈与税の配偶者控除」が適用される点です。お金をもらった場合には、その翌年の3月15日までに住宅等を取得することが前提です。

相続税との関係では、相続開始前3年以内に住宅や住宅取得資金の贈与を受けていた場合でも、配偶者控除の対象となる金額は相続税の計算上加算されないことが特筆されます。

ここ最近の適用件数と金額の状況は次の通りです。平成27年の相続税増税の直前の平成26年をピークに減少していることがわかります。

配偶者控除(人数)配偶者控除金額(百万円)
21 13,304 161,710
22 13,058 161,073
23 14,043 180,697
24 13,538 172,595
25 15,474 203,075
26 16,660 222,282
27 13,959 178,189
28 11,261 140,172
29 10,579 129,116

民法の改正により、20年連れ添った配偶者に居住用不動産を遺贈・贈与した場合には、原則として「特別受益」を受けたものとして扱わなくてよいとする趣旨の制度ができていることから、贈与税の配偶者控除を検討する向きが増えるのかどうか、注目されそうです。

[ 遠藤 純一 ]

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