Topics
TACTトピックス

非上場株式等についての相続税の納税猶予 平成29年事務年度で継続管理件数が1千件突破

2019.06.03

中小企業のための事業承継税制である「非上場株式等についての相続税の納税猶予」(租税特別措置法第70条の7の2)は、所定の中小企業経営者の相続人が、相続等により、経済産業大臣(平成29年4月都道府県知事)認定の中小企業の議決権株式を取得した場合、取得した会社株式のうち発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分の課税価格の80%に相当する相続税をこの相続人が亡くなるまで納税猶予する制度です。

この制度を適用し、納税猶予が平成30年6月30日まで継続している件数が、制度発足以来初めて、1,011件と千件の大台に乗ったこと
がわかりました。

継続猶予税額は約664億円と、前事務年度に比べ初めて約144億円増加しています。

最近3年度分で29事務年度までの適用状況(7月1日から翌年6月30日までの事務年度ベースでの集計)は次の通りです。

70条の7の2第1項

人数/事務年度272829
前期繰越 498 689 845
被相続人数 194 162 192
承継相続人数 203 175 199
猶予の全部打切 7 15 24
猶予税額の免除 5 4 7
猶予税額の特例免除 0 0 1
上記のうち全額免除 0 0 1
猶予税額の申請免除 0 1 1
猶予の一部打切 3 1 0
差引継続管理件数 689 845 1011
金額(百万円)/事務年度272829
当期発生 13,951 9,666 15,896
前期繰越 38,582 43,893 52,012
猶予の全部打切 58 1,214 1,170
猶予税額の免除 125 284 259
猶予税額の特例免除 0 0 7
上記のうち全額免除 0 0 7
猶予税額の申請免除 0 9 32
猶予の一部打切 8,458 41 12
差引継続管理件数 43,893 52,012 66,416

事業承継税制は、平成29年度税制改正で雇用確保要件の計算の見直し等が行われましたが、「特例」により更なる制度の拡充が行わるのは平成30年度税制改正においてです。拡充後の動向にも注目が集まりそうです。

[ 遠藤 純一 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。