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2019.05.20複合的用途ビルの固定資産税評価で裁判 約2億円取消しで納税者が一部勝訴

複合的用途のビルの固定資産税評価が高すぎるとして共有する複数の納税者が管轄の市役所を相手取って争っていた裁判で、東京地裁は平成31年3月8日、市の固定資産評価審査委員会の決めた評価額約28億2千万円のうち、高すぎた約2億3千万円分を取消す判決を下しました。

この事案は、都心へ乗り入れる鉄道の主要駅が繁華街の中心となっている近郊の都市に立地するビルが問題となったものです。同ビルの固定資産税評価をするうえで裁判所が問題視し、修正を認めたのは、次の3点です。

  1. 耐火被覆が施工されていない鉄骨の重量の認定に誤りがあったこと。
  2. 自動車管制装置の規模に応じて適用する補正係数が評価した当局の裁量として適切な数値でなかったこと。
  3. 問題のビルがコンクリート充填鋼管を柱とする構造(CFT造)につき、鉄骨造(S造)として経年減点補正率を適用すべきで、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)として経年減点補正率を適用すべきでなかったこと

建物の固定資産税評価額は、この建物を新築するとしたらいくらになるかを求めて、築後年数に応じた減価償却をするイメージで算定されます。具体的には建物の構造や設備などの所定の部分について評点数をつけて積算し、建築後の年数に応じた経年減点補正率と評価の年の評点1点当たりの金額を乗じて評価額を求めることになります。なお、3年ごとの固定資産税評価の見直しでは、以前に部分別に建物を評価し積算していた評点の合計に、評価替えの年の再建築補正率を利用して補正することになっています。

さて問題となった争点のうち、ここでは、適用すべき経年減点補正率について、裁判所の考えを見ていくことにします。

問題のビルはCFT造で、「非木造家屋経年減点補正率基準表」にない構造材だったことから、どの経年減点補正率を適用すべきかが、争いになりました。評価当局は、SRC造に類似する構造だと認定し、その補正率を適用したのに対し、納税者側はS造の補正率を適用すべきと主張していました。

裁判所は経年減点補正率について「建物の耐用年数を参考に定められているところ、SRC造建物の耐用年数は、鉄筋を被覆するコンクリートの中性化速度から算定し中性化が終わったときに耐用年数が尽きたものとして定められており、一方、S造建物の耐用年数は、鉄骨は酸化によって漸次肉厚が減少するものであるから、その肉厚が3分の2程度に著減したときに耐用年数が尽きたものとして定められている」と理解したうえで、CFT造の耐用年数について次のような考え方を示しました。

「CFT柱は、鋼管にコンクリートが充填されているものの、外気にさらされる鋼管外部がコンクリートに覆われているわけではないから、建物の耐用年数の算定に当たり、コンクリートの中性化速度が問題となるわけではなく、SRC造の耐用年数の算定方法よりはS造の耐用年数の算定方法がより妥当する」

裁判所は、評価当局が以前の評価でS造として経年減点補正率を適用していたことがあったことや、東京都などほかの課税団体での扱いなどを検討し、最終的に「CFT造の家屋には、S造の経年減点補正率を適用するのが相当」としています。

[ 遠藤 純一 ]

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