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2019.01.28保険外交員に個人事業税の課税が認められた事例

会社に勤務し、事業所得1,500万円余りとして所得税の確定申告をしていた保険外交員の業務が個人事業税の課税対象となる「代理業」にあたるかどうかを巡って争いになった裁決事例が、明らかになりました。

これは個人事業税約60万円を課税された保険外交員Aさんが東京都を相手取り、課税を取消すよう審査請求(不服申立)をしていたものです。

審査した東京都は平成30年6月20日、保険外交員として行う会社の業務は、個人事業税の対象となる第一種事業の「代理業」に当たるとの都税事務所の認定を支持、保険外交員Aさんの不服を退けています。

裁決書によると、保険外交員Aさんは会社から受け取っていた外交員報酬について所得税の確定申告で事業収入として記載したほか、経費欄に交際費等合計1,300万円余りを計上していました。申告書の閲覧等をした都税事務所は、保険外交員Aさんが少なくとも保険契約の締結の媒介を行っていると認められる以上、「代理業」に該当するから、個人事業税の課税対象となると判断、29年9月に課税処分を行ったといいます。これが問題になった課税処分です。

審査会の答申では、まず、次の法令上の規定と取扱いを確認。

1、地方税法72条の2第3項では、個人事業税は、個人の行う第一種事業、第二種事業及び第三種事業に対し、所得を課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において、その個人に課するものとされていること

2、「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)(平成22年4月1日付総税都第16号総務大臣通知。以下「取扱通知」という。)によれば、事業を行う個人とは、当該事業の収支の結果を自己に帰属せしめている個人をいうものであり、他の諸法規において雇傭者としての取扱いを受けているということのみの理由で直ちに法上「事業を行う者」に該当しないとはいえないのであるが、「その事業に従事している形態が契約によ
って明確に規制されているときは、雇傭関係の有無はその契約内容における事業の収支の結果が自己の負担に帰属するかどうかによって判断し、また契約の内容が上記のごとく明確でないときは、その土地の慣習、慣行等をも勘案のうえ当該事業の実態に即して判断すること」とされていること

3、東京都の個人事業税事務提要では、代理業は、①一定の商人のために(原則として特定の者のために)、② 反復継続して行われ、③取引を代理し、又は媒介する、④独立した事業であると認められることが必要であるとした上で、「個人事業税にいう代理業は、通常は、自らが支配、管理することのできる営業所を有し、営業費を支出し、自己の活動形式と労働時間を決定して、そのなした行為について手数料を歩合的に受け取っているものであること。身分的従属関係のみを重視し、実質的に自己の責任において営業行為とみなし得る収支計算を行っている者に対して課税しないことは、課税の均衡を失することとなるため、十分調査を行うこと。」としていること

次いで、主な事実関係を以下のように整理しました。

ア、確定申告書等によると、Aさんは本件会社のために、保険外交員として、保険募集業務及びそれらに関連する業務を行い、本件会社から報酬の支払を受けていたこと、申告書に職業を「保険外交員」と記載し、報酬の種目を「外交員報酬」とした上で、本件会社業務に係る当該報酬を事業所得として青色申告により申告していることが認められること

イ、Aさんの場合、収入金額の46パーセント余に及ぶ営業費を負担していることが認められること

ウ、青色申告決算書によれば、月ごとの売上金額の最大額と最小額との格差は392万余円に及んでいること

こうしたことから、審査会は「請求人(Aさん)は、本件会社に対して単に労務の提供を行っているのではなく、自己の危険と計算において独立して事業を行っているものと認められる」としてAさんを事業を行う個人であると認定しました。結局、Aさんの行う会社業務は「「代理業」に該当すると判断するのが相当であり、 法72条の2第3項の第一種事業の「代理業」 に当たるもの」と判断しました。

東京都はこの答申を受けて、Aさんの請求を棄却しています。保険外交員に対する個人事業税の課税に関する処分は複数存在し、業界では議論をよんでいる模様です。

[ 遠藤 純一 ]

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