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2019.01.21埋蔵文化財の発掘で建替え手続き進まず 高い固定資産税が賦課された事例

住宅の建替えで家屋を取り壊したところ、埋蔵文化財の発掘調査の必要に迫られ手続きが進められなかった結果、その宅地が固定資産税や都市計画税の住宅用地の課税標準の特例の適用が認められない土地と認定され、思わぬ税負担を強いられたケースが明らかになりました(東京都裁決平成30年2月16日)。

これは、住宅建替え中の土地に係る固定資産税・都市計画税の課税が問題になったケースの一つです。

住宅用地の課税標準の特例(地方税法349条の3の2、702条の3)は1月1日(賦課期日)において、住宅の敷地になっている土地に適用があります。
特例の内容は、たとえば200㎡までの土地については評価額を6分の1(都市計画税は3分の1)にして課税標準とされます。1月1日時点でその土地に住宅がない場合でも、一定の要件を満たす住宅の建替えが行われている場合には、「住宅用地」として扱われます。具体的には、以下の取扱通達にある認定基準を満たす場合、住宅用地として取り扱われます。

1 当該土地が、当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。
2 当該土地において、住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており、当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること。(以上「住宅建替え中の土地に係る固定資産 税及び都市計画税の課税について」平成6年2月22日付自治固第17号より本事例に関係する部分を抜粋)。

さて埋蔵文化財が元で税金問題になったのは3筆で合計約330㎡の土地です。所有者Aさんは平成28年10月、土地の共有者であるBさんとともに住宅家屋を建替えようと取り壊しました。ところが地下に埋蔵文化財があったため、発掘調査の必要が生じ地方自治体に建築確認申請に向けた準備作業が認められず、その指導により何もできない状態で、建替えを進めることができなかったといいます。埋蔵文化財がある土地で土木工事などの開発事業を行う場合には、都道府県等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)、あるいは新たに遺跡を発見した場合でも届出等を行うよう求められており(同法96・97条)、これにより教育委員会において発掘調査等の取扱いが決められるからです。

一方、管轄の都税事務所は、平成29年1月1日の前後で航空写真により、問題の土地が更地であることを確認。さらに平成29年6月までに現地が更地のままであることを確認し、問題の土地が固定資産税などの住宅用地の課税標準の特例が適用されない土地と認定、平成29年分の税額としておよそ固定資産税と都市計画税併せて約70万円もの賦課決定をしました。これに伴い、都税事務所はこの6月中に地方自治体の建築指導課に建替えの建築確認申請が出ていないことも確認していたといいます。

Aさんは埋蔵文化財の発掘などで建替えの手続きができなかった特殊事情があるので住宅用地の課税標準の特例は引き続き適用が認められるべきと主張、審査請求に及んだものです。

審理した東京都の審査会は、住宅用地の課税標準の特例の適用が認められるためには現況が住宅の「敷地の用に供されている土地」でなければならない判例上の原則(最高裁判所平成23年3月25日判決)を確認、上記の具体的な認定基準について妥当としました。そのうえで審査会は、東京都の新築工事着手の認定基準の取扱いでは「当該年度に係る賦課期日において、建築主事又は指定確認検査機関が住宅の新築に関する確認申請書を受領していることが受領印等により確認でき、かつ、当該年度に係る賦課期日後の3月末日までに住宅の新築工事に着手している場合には、これに含めて取り扱う」とされているが、Aさんらは建築確認申請を提出していないと指摘。埋蔵文化財の発掘の必要に迫られるなど、「その所有者に特有の個別的な事情を考慮・斟酌して、住宅特例等のよ
うな例外的な定めを拡張的に適用すべく、法の規定をその文理を離れて解釈することは、原則として許されない」と判断しました。東京都はこの審査会の答申を受けてAさんの主張を退けています。

[ 遠藤 純一 ]

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