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2018.09.10遺贈の放棄と不動産取得税

遺贈とは、遺言者(遺言をする人)が包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することです(民法964条)。また遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じます(民法985条)。なお、受遺者(遺贈で財産を受け取る人)は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができるとされ、その放棄の効力は遺言者の死亡の時にさかのぼって生ずることになっています。(民法986条)。

一方、不動産の遺贈を受けた場合には、包括遺贈と被相続人から相続人に対してなされた遺贈については相続と同様に非課税ですが(地方税法73条の7)、相続人以外の人を受遺者にする不動産の遺贈(特定遺贈)は非課税にならず、不動産取得税がかかる仕組みです。

そこで問題になるのが、遺言で不動産を特定遺贈された人が、あとで遺贈の放棄をした場合です。この場合、不動産取得税は、遺贈が遺言者の死亡時にさかのぼってなかったものとされ、課税されることはないのでしょうか。それとも、一旦は取得したものとして課税されるのでしょうか?

最近、こんな問題を孕んだ不動産取得税を巡る東京都の裁決がありました(平成30年2月26日)。

裁決書によると、平成28年4月に遺贈を原因とする土地(約240㎡)、2階建て建物2戸(約70㎡と約140㎡)についてAさんを権利者とする所有権移転登記がなされました。この登記の連絡を登記所から受けた東京都は、同年5月にAさんが不動産を取得したものとして、総額約80万円もの不動産取得税の賦課決定をしてAさんに通知しました。しかしAさんは納税に応じず、審査請求に及んだということです。

Aさんは 問題の「不動産について、前所有者から遺贈を受けた受遺者であったが、事情があって遺贈の放棄をした」、「遺贈の放棄は、遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから、(中略)請求人(Aさん)は不動産を「取得」していないこととなる」と主張、遺贈の放棄により錯誤を原因として抹消登記をしており、不動産取得税の「賦課処分は、民法の規定に違反する違法・不当な処分」だと申立てました。

これに対し、審査した東京都は審査会の答申に基づき、不動産取得税の賦課を支持しました。その理由の概要は次の通りです。

1、課税対象となる地方税法73条の2第1項にいう「不動産の取得」とは、所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく、その経過的事実に則してとらえた不動産所有権取得の事実をいうと解される(最高裁判所昭和
48年11月2日判決)。取得の原因となった法律行為が覆されたかどうかにかかわりがないというべきである。不動産の取得の原因が特定遺贈であり、遺贈の放棄によって法律関係が覆された場合であっても、同様であると解せられる。

2、Aさんは遺言に基づき不動産の所有権を、特定遺贈を原因として承継取得したことが認められる。ただ所有権移転登記後の抹消登記申請書の添付書類を見ても、遺贈の放棄があった事実を確認することができない。
しかしながら遺贈により、一旦は遺言者の死亡時に遺贈の効果が生じるのであり、遺贈の放棄がなされたとしても、その直前までは、受遺者に遺贈の対象たる財産が帰属している法律状態であったという経過的事実そのも
のは、否定されるものではない。

[ 遠藤 純一 ]

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