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平成21年度改正で創設の1,000万円控除適用件数が倍増、28年分は2,005件に

2018.08.31

平成21年度税制改正で創設された「取得する土地等の将来譲渡益に係る1,000万円特別控除」の適用件数が平成28事務年度、2,005件だったことが明らかになりました。

1年前の平成27事務年度の911件から2.2倍に増加したことになります。情報公開制度により国税庁から入手した平成28事務年度の資産税事務処理状況表からわかりました。

このうち、東京国税局管内では922件に上り、全体の45%を占めるほどになっているほか、東京・大阪・名古屋・関東信越国税局の管内の適用件数を合すると1,499件となり、全体の75%を占めている状況です。

三大都市圏の商業地・住宅地の公示地価の継続地点の対前年変動率は、平成21年から平成25年まで下がりますが、平成26年から上向きに転じており、平成22年の商業地・住宅地の単位面積当たりの平均値を平成28年の商業地・住宅地の単位面積当たりの平均値を上回る状況になっていました。こうした地価状況が特例の適用動向に反映したものとも見えます。

この特例はリーマンショック等からの脱却を図るために平成20年に取りまとめられた「住宅・不動産市場活性化のための緊急対策」を受けて創設されたものです。

具体的には、土地需要を喚起し、土地の流動化と有効活用を推進する観点から、平成21、22年の2年間に土地を取得し、取得した上記土地等の所有期間が譲渡の年の1月1日で5年を超えた年にその土地を譲渡した場合、土
地等の譲渡所得金額を限度として最大1,000万円の控除を受けることができるものとして創設されたものです。突き詰めていえば、仕入れた土地の含み益が膨れてきたところで、利益確定売りをしても譲渡益1,000万円ま
では無税で済むという制度になっているわけです。

平成21年に取得していた土地等については平成27年以降の譲渡から、平成22年に取得していた土地等については平成28年以降の譲渡からの適用となります。平成30年までの三大都市圏の地価状況は、商業地・住宅地で上昇を続けており、今後もしばらくは適用件数が増加する可能性はありそうです。

[ 遠藤 純一 ]

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