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2018.08.20不動産の財産分与で不動産取得税がかかるとき

夫婦が離婚するとき、財産分与が行われます。財産分与は3つのポイントがあると考えられています。

1、清算的財産分与、2、扶養的財産分与、3、慰謝料的財産分与の3つです。

このうち、1の清算的財産分与はともに築き上げてきた財産を分けるという基本的な考え方です。したがって分ける財産は、夫婦のいずれに属するか明らかでないため共有財産と推定される範囲の財産であって、もともと夫婦になる前に持っていた財産や、親からの相続財産などは各人固有の特有財産とされ「清算的に分ける」財産分与の対象外と考えられています。

清算的財産分与については、共有財産か、それとも特有財産かの線引きが重要になっているわけです。

ところで不動産の財産分与では、不動産取得税に注意する必要があります。というのも課税される場合があるからです。

たしかに夫婦になってから取得した不動産で、夫婦のいずれに属するか明らかでないため共有財産と推定される不動産の財産分与なら「形式的に財産権の移転が行われることはあっても当然の所有権の帰属を確認する趣旨にすぎず、これによって実質的に財産権の移転が生じるものではないと解するのが相当」(東京地裁、昭和45年9月22日判決)とされ、不動産取得税は課税されません。

ところが「不動産の取得が離婚に対する慰謝または将来の扶養を目的とする財産分与による場合には(中略)実質的にその不動産所有権の移転が生じるものと解するのが相当」(同)として課税対象になるとし、「婚姻前から所有し、または婚姻中自己の名で取得した財産を財産分与に供したときは特段の事情がない限り、離婚に対する慰謝または将来の扶養を目的としたものと認めるのが相当」(同)という考え方を示しているからです。

これに関連して、最近、不動産を財産分与して不動産取得税を課税された人が、東京都に対し審査請求をした事案がありました。

裁決書によると、Aさんは、夫婦の持分2分の1ずつの共有名義で買っていた130㎡ほどの土地について、財産分与で相手方の持分2分の1を取得しました。
課税当局はこれに対し、40万円ほどの賦課処分を行ったところ、争いとなったものです(東京都裁決、平成30年4月18日)。

Aさんは、「全体としてどのような財産分与が行われたかという観点から判断されるべき(中略)(この持分の取得は(筆者注))和解調書からも明らかなとおり、清算的財産分与によるもの(中略)、土地は実質的共有財産にあたる」と主張しました。

しかし、審査した東京都は、上記の判決等を確認したうえ、2分の1の持分で共有で買っていた事実関係に関し「請求人(Aさん)と元妻の登記上の持分が実態と異なることを認めるに足りる証拠はない」として、この不動産の持分が夫婦のいずれに属するか明らかでないため夫婦の共有に属するものと推定される財産とは認められないと認定、賦課処分を支持しています。

[ 遠藤 純一 ]

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