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所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が成立

2018.06.11

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」は、平成30年6月6日に参議院本会議で可決・成立しました。

所有者不明土地とは、「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」です。

こうした土地は全国的に増加傾向にあり、公共事業などで、このような土地が事業の用地として必要になったとき、収用の手続きを取ろうとしても所有者と連絡が取れないことから、事業体が困ってしまうケースが見られるようになってきたということです。

そこで「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」で次のような対策をすることになりました。

  1. 国は所有者不明土地の利用円滑化や土地所有者の効果的な探索を図るため基本方針を定めること
  2. それに基づき所有者不明土地を地域の公共的な事業等(立入調査、地域福利増進事 業、収用適格事業又は都市計画事業)のために利用する場合の所有者の権利保護・補償と事業者の土地使用権等の取得・手続き等に関することを定めること
  3. 土地の所有者に関する情報の利用や提供に関する特別の措置を定めること

このうち公共的な事業を行う事業者などにとってポイントになるのが、都道府県・市町村からの土地所有者を探索するための情報提供です。所有者等がわかる市町村の固定資産課税台帳、地積調査票について本来の所有者探索に必要な限度で情報提供を受けることができるようになります。

また、この法律では、登記官が調査した区域の土地が、特定登記未了土地で、所有権の登記名義人の死亡後10年以上30年以内において政令で定める期間を超えて相続登記等がされていないと認めるときは、登記官はその土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索した上、職権で、所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨などを所有権の登記に付記し、その者に相続登記の申請をするよう勧告することができるようになります。

これに伴い、登録免許税にも特例が設けられました(本欄1月22日参照)。

[ 遠藤 純一 ]

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