相続税の小規模宅地特例:特例対象宅地等が順次分割された場合の更正の請求期限
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【問】 被相続人甲は令和7年3月4日に亡くなりました。相続人は長男Aと次男Bの2人です。甲に係る相続税申告において、AとBは、租税特別措置法(措法)69条の4の「小規模宅地等についての課税価格の計算の特例」(以下「小規模宅地特例」)の適用対象となり得る宅地Xと宅地Yにつき、申告期限までに分割がまとまらなかったため、当初申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出しました。その後、宅地Xについては令和8年3月1日に遺産分割が成立しAが取得しました。Aは宅地Xに係る更正の請求について、宅地Yの分割後にまとめて行うつもりだったので、結局その翌日から4ヶ月以内に更正の請求をしていません。 |
【回答】
1.結論
宅地Xについて、Aは分割が成立した令和8年3月1日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をしていないため、小規模宅地特例の適用を受けることはできません。一方、宅地Yについて、Bは分割が成立した令和8年7月19日の翌日から4ヶ月以内である同月27日に更正の請求をしているため、小規模宅地特例の適用を受けることができます。
2.解説
(1)小規模宅地特例の概要
小規模宅地特例は、個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた一定の宅地等について、相続税の申告期限までその宅地等を保有し、事業又は居住の用に供するなど一定の要件を満たす場合に適用される制度です。この場合、その個人が小規模宅地特例の適用を受けるものとして選択した宅地等については、被相続人等に係る相続税の計算上、一定面積までの部分について、相続税の課税価格のうち一定額を減額することができます(措法69条の4第1項)。
(2)遺産分割要件
小規模宅地特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までにその特例の適用対象となる宅地等(「特例対象宅地等」)につき、遺産分割が行われていることが必要です。
ただし、その宅地等について相続税の申告期限までに遺産分割が行われていない場合であっても、その当初申告において「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出し、その宅地等が申告期限から3年以内に分割されたときには、分割が行われた日の翌日から4ヶ月以内に「更正の請求」を行うことにより、小規模宅地特例の適用を受けることができます(措法69条の4第4項、5項、措法施行令40条の2第26項)。
(3)宅地等が順次分割された場合の更正の請求期限
上記(2)の更正の請求の期限は、特例対象宅地等が分割された日において他に分割されていない特例対象宅地等がある場合であっても、その分割された日の翌日から4ヶ月以内に限られます。その期間を経過した後は、その分割された特例対象宅地等について更正の請求をすることはできません(措法通達69の4-26)。したがって、後日、他の特例対象宅地等の分割が成立した場合であっても、既に更正の請求の期限が過ぎた特例対象宅地等については、小規模宅地特例の適用を受けることができないことになります。
(4)本問へのあてはめ
宅地Xは、分割された日(令和8年3月1日)の翌日から4ヶ月以内に更正の請求をしていないことから、小規模宅地特例の適用を受けることができません。一方、宅地Yは、分割された日(令和8年7月19日)の翌日から4ヶ月以内である同月27日に更正の請求をしていることから、小規模宅地特例の適用を受けることができます。
仮に宅地Yよりも宅地Xの方が1㎡当たりの評価額が高く、宅地Xに小規模宅地特例を適用することが相続税の計算上有利であったとしても、宅地Xは期限内に更正の請求をしていない以上、その特例の適用を受けることはできません。したがって、期限内に更正の請求をしている宅地Yについてのみ、小規模宅地特例の適用を受けることになります。
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