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TACTニュース
No.988

教育資金贈与の特例に係る贈与者が、教育資金管理契約の期間中に死亡した場合の相続税

【問】

甲は、令和4年4月に孫のA(長男乙の子。当時18歳。令和3年の合計所得金額0円)に対し、贈与契約書を交わして現金1,000万円を贈与しました。Aはその現金について、教育資金管理契約(以下「契約」)に基づきB銀行へ預け入れ、教育資金非課税申告書を提出して、租税特別措置法(措法)70条の2の2第1項の「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下「本特例」)の適用を受けています。その契約中かつ乙が存命中に甲が死亡した場合に、甲がAに贈与した1,000万円のうち、Aの教育資金として支出されていない残額があるときは、甲に係る相続税の計算上、その残額はどのように取扱われますか。

【回答】

1.結論

本問の場合、贈与者である甲の相続開始時に受贈者Aが23歳未満である場合等(後記2(2)②参照)には、教育資金として支出されていない残額(後記2(2)①の「管理残額」)について相続税は課税されません。一方、23歳未満である場合等に該当しない場合には、Aがその残額を甲から遺贈により取得したものとみなされ、相続税が課税されます。

2.解説

(1)本特例の概要

本特例は、30歳未満の個人(前年分の所得税の合計所得金額が1,000万円超の者を除く。以下「受贈者」)が、教育資金に充てるため金融機関等の一定の契約に基づき、受贈者の祖父母等の直系尊属(以下「贈与者」)から書面による贈与により取得した金銭を銀行に預け入れる等の一定の行為をした場合、その金銭等の額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税とされる税制です(措法70条の2の2第1項、第3項)。

(2)契約期間中に贈与者が死亡した場合の相続税


①原則

契約期間中に贈与者が死亡した場合は、原則、その死亡日における【非課税拠出額*1-教育資金支出額*2】のうち一定の計算をした金額(以下「管理残額」)を、受贈者が贈与者から相続または遺贈(以下「相続等」)により取得したものとみなされ、相続税の課税価格に加算されます(措法70条の2の2第12項2号)。
*1「非課税拠出額」は、教育資金非課税申告書等に本特例の適用を受けるものとして記載された金額の合計額(1,500万円を限度)をいいます。
*2「教育資金支出額」は、金融機関等の営業所等で、領収書等により教育資金の支払の事実が確認され、かつ記録された金額の合計額をいいます。

②相続税が課税されない場合

受贈者が令和3年4月1日から5年3月31日までの間にその贈与者から金銭等の取得をし、本特例の適用を受けた後に契約期間中に贈与者が死亡したときにおいて、受贈者が贈与者の死亡日において23歳未満である場合等(注)に該当するときには、①にかかわらず、管理残額を相続等により取得したものとはみなされず、相続税が課税されません(措法70条の2の2第13項、措法通達70の2の2-9、同逐条解説(表)参照)。
(注)「23歳未満である場合等」とは、次に掲げる場合(ロ又はハに掲げる場合には贈与者死亡の届出と併せて一定の書類を提出等した場合に限る。) をいいます。

イ.23歳未満である場合
ロ.学校等に在学している場合
ハ.雇用保険法第60条の2第1項に規定する教育訓練を受けている場合

(3)本問へのあてはめ

受贈者のAが令和4年4月に贈与者の甲から金銭等を取得し、本特例の適用を受けた後、契約期間中に甲が死亡したときにおいて、Aが甲の死亡日に前記(2)②(注)の「23歳未満である場合等」に該当するときは、前記(2)②より、管理残額を甲から遺贈により取得したものとはみなされず、相続税は課税されません(措法70条の2の2第13項)。
一方、「23歳未満である場合等」に該当しないとき、つまり甲の死亡時においてAが23歳以上であること等の場合には、管理残額を甲から遺贈により取得したものとみなされ、Aに相続税が課税されます。この場合において、甲の長男乙(=甲の相続人)が存命中のときは、Aの相続税の計算上、「相続税額の2割加算」(相続税法18条第1項)が適用されます。 

[ 山崎 信義 ]

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