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TACTニュース

2019.02.18No.773 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度と平成31年度税制改正

カテゴリー:税制改正

1.現行の表題の制度の概要

表題の制度は、租税特別措置法(措法)70条の2の2が定めるもので、一定の方法に従い、平成25年4月1日から平成31年(2019年)3月31日までの間に、個人が自らの教育資金に充てるための資金をその直系尊属(祖父母や両親)から金銭等の一括贈与を受けた場合について、一定の申告手続きを取ることによってその贈与された財産の価額のうち、1,500万円までの部分の価額を、贈与税の課税価格に算入しない(その結果、その部分の贈与が非課税となる)特例です。
上記「一定の方法」は次の3つです。
①その直系尊属と信託会社との間の教育資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合、②その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を教育資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合又は③教育資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭等で証券会社の営業所等において有価証券を購入した場合
(注)「教育資金管理契約」とは①~③の類型別に措法70条の2の2・2項2号が求める内容をもつ契約で、信託会社などがそれを満たす内容の契約書として用意しているものと考えて差し支えありません。また、③の「金銭等」とは、金銭、いわゆるMRF又はMMFをいいます。
なお、この特例を受けられる個人は、教育資金管理契約の締結日において30歳未満の者に限られます。

2.表題の制度に係る平成31年度税制改正(同年度の税制改正大綱より)

表題の非課税制度は、次の(1)~(3)の措置(いずれもこの制度の適用条件を厳しくするもの)を講じた上、その適用期限を2年延長することとされました。

(1)この制度の適用を受ける贈与があった日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超えないこと。
「合計所得金額」とは、厳密に説明すると長くなりますが、退職金や分離課税の所得がない人を前提にすると、各種所得の金額の合計額であり、確定申告書(様式)Bの⑨欄(同Aなら⑤欄)の額がそれに当たり、給与所得のみの人であれば、給与収入から給与所得控除をした後の金額がそれに当たります。
この改正は、平成 31年4月1日以後に1の①~③により行われる贈与について適用されます。

(2)「教育資金」の範囲から、受贈者が23歳になった日の翌日以後に支払われるものについては、学校等以外に支払われる教育に関する役務提供の対価、スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料を除外(例外:教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講費用は除外されません。)すること。 
ここで「学校等」とは、学校教育法第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校、同法第134条第1項に規定する各種学校その他これらに類する施設に限定されていることに留意が必要です。   
この改正は、平成31年7月1日以後に支払われる教育資金について適用されます。「教育資金の範囲から除外される」ということは、受贈者が三十歳に達したことなどによって教育資金管理契約が終了した時、除外されるこれらの費用につき、たとえ取扱金融機関から払い戻しを受けていたとしても、その終了した時を含む年分の贈与税の対象になる金額に含まれる結果となることを意味します。

(3)教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において受贈者が23歳未満である場合や受贈者が学校等に在学している場合などは除かれます。)において、この制度を適用した贈与に係るすべての財産の中に、受贈者がその贈与者からその死亡前3年以内にこの制度の適用を受けた贈与(*)により取得した財産があり、かつ、その死亡の日において上記すべての財産に使い残しがあるとき、その使い残し分のうち*の贈与に対応する部分(「管理残額」といいます。)をその受贈者がその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなすこと。
これは、贈与者となる直系尊属が自身の死亡の前に駆け込み的にこの制度を利用する節税策に対し、上記の管理残額があればそれを相続又は遺贈により取得したものとみなして相続税の対象とすることで一定の歯止めを設けるものです。
この改正は、平成31年4月1日以後に贈与者が死亡した場合に適用しますが、同日前に行われたこの制度の適用を受ける贈与に係る財産の価額は、管理残額に含まれないものとされます。

[ 亀山 孝之 ]

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