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2018.07.17No.745 非上場株式の贈与税の納税猶予の特例における贈与者の要件(租特法70条の7の5)

カテゴリー:事業承継税制改正

1.はじめに

今回は、表題の特例(以下「この特例」といいます。)の適用を受けるための一連の要件うち、'贈与者が「特例贈与者」に該当するべきこと'を説明します。

2.特例贈与者に該当するための要件・その1

特例贈与者とは、「この特例の対象となりうる株式(対象株式)を有していた個人で、政令(租特法令)で定めるもの」をいいます(租特法70条の7の5①)が、左の①自体も一つ要件を定めています。それは、その株式につき〈既にこの特例の適用に係る贈与をしている者〉は対象外である、ということです。つまり、一の株式の贈与で特例贈与者になることは一回だけです。

3.特例贈与者に該当するための要件・その2

特例贈与者のその他の要件は、租特法令40条の8の5①で定められています。そこでは、特例贈与者を「次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者」としていて、1号と2号の2つの「場合」を定めているので、まず、対象株式を後継者に贈与する時に、どちらの'場合'に当たるかを判断する必要があります。1号は2号より先に出てくるのに「次号に掲げる場合以外の場合」となっているので、先に「次号」=2号の場合を見にいかなければなりません。2号は、この特例の適用を受けようとする贈与の直前に、次の3者のいずれかがいる場合、となっているので、次のイ、ロ又はハの者(のいずれか)が既にいる状況で贈与を行おうとしている場合(の贈与者)は、2号に掲げる場合に該当する、ということです。そして、2号は、その場合の「特例贈与者」を単に対象株式を有していた個人としているので、代表権を有していたかどうかなどは不問で、結局、株主ならだれでもOKということです。

イ:対象株式について、この特例、相続税の納税猶予の特例(同法第70条の7の6。相続税の特例措置)又はみなし相続となる場合の納税猶予の特例(同法第70条の7の8)の適用を受けている者
ロ:1号に定める者からこの特例の適用に係る贈与によりその会社の株式の取得をしている者(イの者を除く。)

 この「1号に定める者」とは、1号の「場合」に当たるか否かは棚上げにして、この特例に係る贈与の前に、その会社の代表権を有していた個人で、次に掲げる3要件の全てを満たすものです。

①この贈与の直前(その個人がこの贈与の直前にその会社の代表権を有しない場合には、その個人が代表権を有していた期間内のいずれかの時及びこの贈与の直前)において、その個人及びその個人と特別の関係がある者(親族等の個人、その個人やその親族等が株主となって一定の支配をしている他の会社がこれに当たります。次の②も同。) の有する対象株式に係る議決権の数の合計が、その会社の総株主(株主総会の決議事項の全部につき議決権を行使できない株主を除く) の議決権数の50%超であること。

②この贈与の直前(その個人がこの贈与の直前にその会社の代表権を有しない場合には、その個人が代表権を有していた期間内のいずれかの時及び当該贈与の直前)において、その個人が有するその会社の株式に係る議決権の数が、その個人と特別の関係がある者(ここでは、この特例の適用のための要件を満たす、その会社の後継者となる者は除きます。)のいずれの者が有するその会社の株式に係る議決権の数に対しても下回らないこと。

③当該贈与の時において、その個人がその会社の代表権を有していないこと。
結局、「1号に定める者」の具体的イメージは、その会社の先代の(筆頭株主であった)オーナー経営者(代表者)で、問題の贈与の前に、既に後継者にその会社の株式を贈与し代表権を譲っている人ということですから、ロの者は、「1号に定める者」≒その会社の先代のオーナー経営者からこの特例の適用をする予定の贈与を受けているその後継者のことです。

ハ:政令40条の8の6①1号に定める者(簡単にいうと、ロの「1号に定める者」の被相続人版で、亡くなる前にオーナー経営者だった人) から相続税の特例措置における相続又は遺贈によりその対象会社の株式の取得をしている者(イの者を除く。)


イ、ロ又はハのいずれの者もいない場合(これは、先行してこの特例や相続税の特例措置などを受けている・受ける予定の贈与や相続等が生じていない場合を意味します。) に行われる贈与は、2号の場合に該当しないので、1号に回り、同号により上記ロの下線部の個人でなければ、特例贈与者に該当しないことになります。例えば、対象会社の株式を有するものの代表歴のない母親が、代表歴のある父親に先立って後継者の子に対象株式の贈与をした場合、母親は特例贈与者に該当しないことになります。

[ 亀山 孝之 ]

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