News
TACTニュース
No.719

平成30年度税制改正大綱・住宅税制の主な改正項目

1、 住宅の譲渡税関係(所得税・住民税)

平成29年12月31日で期限切れとなる次の特例は、適用期限が2年延長されます。
⓵居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(租税特別措置法41条の5)
⓶特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(同法41条の5の2)
⓷特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例(同法36条の2、36条の5)

ただし、③については、買換資産が建築後使用されたことのある家屋で耐火建築物以外のもの(以下、非耐火既存住宅という。)である場合の要件に次のどちらかを満たすことが付け加えられます。

ア、 その取得の日以前25年以内に建築されたもの
イ、 地震に対する安全性に係る規定若しくはこれに準ずる基準に適合することのいずれかを満たすこと
これとは別に、経過年数等要件を満たさない非耐火既存住宅を取得した場合も、取得期限までに改修等を行うことにより経過年数等要件に適合することとなったときには、経過年数等要件を満たす家屋を取得したものとされます。非耐火既存住宅についての追加要件は、平成30年1月1日以後に住宅を譲渡し同年4月1日以後に買換え資産を取得する場合に適用となる予定です。

2、 登録免許税

次の特例の適用期限が2年間延長されます。
⓵特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する税率の軽減措置(同法74条)
⓶認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に対する税率の軽減措置(同法74条の2)
⓷特定の増改築等がされた住宅用家屋の所有権の移転登記に対する税率の軽減措置(同法74条の3)
ただし③については、対象工事に居室の窓の断熱改修工事又はこれと併せて行う天井、壁若しくは床の断熱改修工事で、改修後の住宅全体の省エネ性能が断熱等性能等級4 又は一次エネルギー消費量等級4 以上及び断熱等性能等級3 となるものが加えられます。

3、 印紙税

不動産譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置(同法91条)の適用期限が2年延長されます。

4、 不動産取得税

次の特例の適用期限は3年間延長されます。
⓵宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1 とする措置(地方税法附則11条の5)
⓶住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の標準税率を3 %とする措置(同法附則11条の2)

次の特例の適用期限は2年間延長されます。
⓵新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日を住宅新築の日から1 年を経過した日に緩和する措置(同法附則10条の2第1項)
⓶新築住宅特例適用住宅用土地に係る不動産取得税の減額措置につき土地取得後の住宅新築までの経過年数要件を緩和する措置(同法附則10条の2第2項)
⓷新築の認定長期優良住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置(同法附則11条第9項)

なお、次の措置が新たに追加されます。
⑴ 新耐震基準に適合しない中古住宅を取得し、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する場合における当該中古住宅の用に供する土地に対し、耐震基準適合既存住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置と同様の措置
⑵ 宅建業者が取得した既存住宅につき一定の増改築等を行った上、取得日から2年以内に耐震基準適合要件を満たすものとして個人に販売し、自己の居住の用に供された場合における当該宅建業者が取得する当該既存住宅のうち一定のものの用に供する土地に対する減額措置

5、 固定資産税

次の特例の適用期限が2年間延長されます。
⓵新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置(同法附則15条6)
⓶新築の認定長期優良住宅に係る固定資産税の税額の減額措置(同法附則15条の7)
⓷耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税の減額措置(同法附則15条の9第1項)
⓸バリアフリー改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置(同法附則15条の9第4項、第5項)
⓹省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置(同法附則15条の9第9項、第10項)
ただし⓸、⓹については、適用対象となる住宅の床面積の上限を280㎡以下とする要件が加えられます。

[ 遠藤 純一 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。