相続した土地に接する市道が建築基準法上の道路ではないのに無道路地として評価減が認められなかった事例
市道でありながら、建築基準法上の道路ではなく幅員約2mの通路に接する土地が、無道路地に該当するため、その相続税評価額が大幅に引き下げられるかどうかが、税務上の争いとなった裁決事例が明らかになりました(国税不服審判所令和7年12月1日裁決:情報公開による)。
それによると、国税不服審判所(以下、審判所という。)は、この通路が建築基準法上の道路ではなくても、建築基準法43条2項2号の一定の要件を満たせば、特定行政庁から建築の許可がもらえる蓋然性が高いと認定、問題の土地につき相続税評価をする上で「無道路地として評価減する必要はない」と判断しました。
事案の概要は次のとおりです。
1.問題になったのは、3つの土地(合計約640平米)。路線価で評価する場所にあり、普通住宅地区に区分。
2.3つの土地は、通路とそれぞれ9mから10m強、接していた。
3.その通路は建築基準法の道路ではないが82,000円の路線価が付けられて いた。
4.同通路は、幅員約2mほどで、東西で別の市道などと接続、舗装され平坦、通行の障害は見当たらず、不特定多数の者の通り抜けが可能。
5.相続人は、相続税の申告後に、更正の請求で3つの土地を無道路地として、当初申告の半額程度の約1,317万円に減額するよう求めた。しかし税務署は相続人の求めるような減額は認めなかった。
6.相続人は令和6年12月、審判所に3つの土地の相続税評価額の減額を求めて審査請求した。
争点は評価通達20−3に定める無道路地として評価すべきか否か(そのほかの争点は割愛)。
審判所の判断のポイントになったのは、建築基準法43条2項2号の許可です。
建築基準法では、所定の道路に2m以上接していないと、原則として建物の建築を認めていません(同法42条、43条)。
ただし、一定の建物を建てる場合、交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないと認められ、建築審査会の同意を得られたケースでは、例外として建物の建築を許可する仕組みです(同法43条2項2号)。
一方、財産評価基本通達20-3(以下、評価通達20-3という。)では、道路に接しない土地(接道義務を満たしていない土地を含む。以下同じ。)の評価上、最小限の通路開設分の減額を認める取扱い。
具体的には、無道路地を不整形地として補正した後の価額の100分40の範囲内において、接道義務に基づき最小限度の通路を開設する場合のその想定通路部分の価額を控除します。
審判所は、評価通達20-3について「接道義務を満たさないことによる相当の利用の制限が認められない場合には、評価上、道路に接しない土地であることをしんしゃくする必要がないというべき」と無道路地における評価減の考え方を明らかにしました。
次に審判所は、問題の土地が所在する管轄の行政庁(都道府県等)では、「建築基準法第43条第2項第2号の許可に関する判断基準」を定めているほか、この基準とは別に、提案基準や一括同意基準を定め、建築審査会の同意を得ることなく、建築基準法第43条第2項第2号に基づく許可をする道も開いていることを確認。
これらの基準を満たせば、基準に適合する建物の建築が可能となることから、審判所はそれぞれ基準に従って検討を進めたところ、基準に適合する建物を建てることを前提に、建築基準法第43条第2項第2号による建築の許可されることについて「蓋然性が高い」と認定。
最終的に審判所は「新たに通路を開設することなく建築物を建築することができると推認される」として、評価減の適用を認めませんでした。
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