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不動産サブリースで行為計算否認めぐる裁判 最高裁が上告棄却し納税者敗訴

2026.04.13

賃貸住宅等のオーナーが同族会社を通して、その保有物件を第三者に転貸する事業で、同社がオーナーに払う借上料が第三者からもらう賃料に比べ低過ぎるかどうかを巡って争いになっていた所得税の裁判で、最高裁は令和7年11月12日、上告を棄却しました。
同社の業務が窓口業務に過ぎないなどとして、家賃に対しオーナーがもらう借上料の割合(借上料率)が60%を切って経済的合理性がないと判断、「同族会社等の行為又は計算の否認等(所得税法157条)」を適用して、オーナーがもらう借上料を増額した税務署の処分を支持した大阪高裁判決が確定することになりました。

「同族会社等の行為又は計算の否認等(所得税法第157条)」は、税務署長が、同族会社と株主等の取引で同族会社の行為又は計算について、これを容認した場合にはその株主等の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるときに発動されます。
それは、この取引が経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、経済的合理性を欠いた場合です。
こうした認定をふまえ税務署長は、同族会社の行為や計算にかかわらず、合理的と考えられる取引等に引き直して、所得税の額等を再計算します。

本件では、同族会社の不動産転貸事業の契約や実態に比べ、オーナーから受け取る利益(転貸料とオーナーのもらう賃料との差額)が見合うかどうかが問題となったものです。
この取引は、複数の賃貸不動産を大まかに一括して同族会社に転貸させるもので、問題となった借上料率は、平成27年から平成29年の年分でおよそ54%から59%でした。

1審の大阪地裁は、オーナーに軍配を上げていました。これに対し大阪高裁は逆転判決を下していました。
具体的には、転貸先からもらう賃料とオーナーが受け取る賃料との差額について、管理委託方式の管理料と経済的に同視し得ると判断、その理由として次のようなポイントを指摘していました。

(1)一般的には、借上料の転貸料(転貸先からもらう賃料)に対する割合(借上料率)は80ないし90%程度であることが多く60%末満とすることは、オーナーにメリットがなく、通常、想定し難い(なお、管理委託方式では、管理委託料を賃貸料の5~10%程度とすることが一般的。)

(2)第三者の管理会社との間で管理委託契約等を締結し、同族会社との転貸契約と重複している物件がかなりあり、同族会社は賃料を受け取る窓口業務をしていたにすぎないと評価せざるを得ないこと。

(3)オーナーと同族会社の契約は、オーナーから同族会社に所得を移転する目的でされたものであり、オーなーが同族会社の株主であり、代表取締役という地位にあるがゆえに行うことができる行為・計算にほかならず、経済的合理性を欠く。

[ 遠藤 純一 ]

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