Topics
TACTトピックス

小規模宅地等の特例 「貸付事業用宅地等」での適用件数は過去5年で最大

2025.06.09

「相続税の小規模宅地の評価減の特例」の最新の適用状況(令和5年分)から、貸付事業用宅地等を対象として適用された件数が令和元年以降、最大を記録していたことが分かりました。

小規模宅地等の評価減の特例とは、被相続人等の商売の敷地(特定事業用宅地等)や自宅の敷地(特定居住用宅地等)、貸家の敷地(貸付事業用宅地等)を親族が相続した場合に、一定要件のもと、その土地の課税価額の一定割合が減額される税制上の特典です。

「貸付事業用宅地等」として特例の適用がある場合には、課税価格が200㎡までについて50%減額されます。

情報公開により取得した資料によると、令和5年分の適用件数は、3万4,119件(税額が発生したもの及び税額が発生しなかったものを含む)となり、令和元年以降で最高となりました。
また、適用者の相続人の人数は5万2,961人でこれも最高でした。
令和元年以降の適用件数等の推移は次の表の通りです。

適用件数/年分 1 2 3 4 5
特定事業用 3,758 3,565 3,855 4,100 3,813
特定同族会社事業用 3,279 3,385 3,507 3,787 3,700
貸付事業用 26,708 27,867 30,518 33,428 34,119
特定居住用 76,366 77,820 84,331 92,839 93,841
上記合計① 110,111 112,637 122,211 134,154 135,473
被相続人数② 92,014 94,295 102,668 112,999 114,777
①-② 18,097 18,342 19,543 21,155 20,696

なお、適用件数が被相続人数を上回る(上表①-②)のは例えば特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等など2以上の小規模宅地を選択したケースと見られます。
令和にあっては年間、2万件前後の相続において、2以上の小規模宅地を選択しているといえる状況です。
この場合、貸付事業用宅地等を一部選択すると、限度面積の調整計算が必要になります。詳しくは、国税庁のHPをご覧ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

[ 遠藤 純一 ]

当サイトに掲載の文章等の無断転載を禁じます。
全ての著作権は税理士法人タクトコンサルティングに帰属します。
無断使用、無断転載が発覚した場合は法的措置をとらせていただきます。