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被相続人の滞納固定資産税にご用心

2019.12.02

被相続人の滞納固定資産税については、しっかり把握していないと、あとで親族間に禍根を残すことになります。

相続人に被相続人の滞納した固定資産税等の納税を請求されるからです(地方税法9条1項)。それを無視して支払わないときには督促の上、最悪の場合は相続人の預金等を差押えられ、税金を強制的に徴収されることがあるのです。

中でも気を付けたいのは、相続人が複数いる場合に遺産分割をすませていないと、相続財産が共有になるため、共有物の税金は連帯納付義務が生じるという点です(地方税法10条の2)。連帯納付義務のある税金については、徴収権のある市町村は、連帯納税義務者の1人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯納税義務者に対し、その税金の支払いを請求することができるとされているからです。

課税する行政側は、相続人の誰から取ろうと、その負担の調整は相続人同士で行うべきものと考えています。相続人サイドでは、相続人同士がうまくいっていないから行政側で何とかしてほしいのに、こうした滞納税の支払いが誰か一人に求められると困るというのが実情です。

花巻市の事例です(平成28年11月22裁決日)。
裁決書によると、市内の30物件の所有者である被相続人Xさん対し数年度分課税していた固定資産税につき、花巻市は複数の共同相続人のうち代表者として相続人Aさんを指定し、賦課徴収の書類を送付していました。

ところがAさんは、納期限後も納付しません。そこで一転、花巻市は平成28年3月、別の相続人Bさんに納期限を3月末とする連帯納税通知書を送付しました。Bさんも無視。花巻市は同年4月20日付で、督促状をBさんに送付しました(納期限後20日以内に督促状・地方税法371条)。Bさんはここで督促処分に不服を申立てました。いわく「Aが単独で課税対象不動産を流用し、年間100万円超の賃料収入を得ており、その固定資産税はAから徴収すべき」と。しかし審理した花巻市は、督促処分に違法はないとして、Bさんの不服を退ける裁決を下しています。

[ 遠藤 純一 ]

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