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住宅用地として「一体」のものと認められる場合 最近の固定資産税のトラブルから

2018.10.09

住まいの隣の土地が売りに出たので、買って利用する場合に問題になるのが、固定資産税・都市計画税です。というのも、隣地に立っていた家屋を取り壊して利用すると、固定資産税・都市計画税が高くなる恐れがあるからです。

固定資産税・都市計画税には、住宅家屋の敷地について、課税標準を低くして税負担を軽減する「住宅用地の課税標準の特例」があります(地方税法349条の3の2、702条の3)。この敷地が200㎡までなら、固定資産税の課税標準は6分の1、都市計画税は3分の1になりますが、更地になってしまうと、この特例の適用がなくなる仕組みです。問題は、少なくとも隣接する2筆の土地が一体の住宅用地として認められる条件は何かということになります。

地方税の取り扱いによれば、住宅家屋の「敷地の用に供されている土地」とは、法の解釈運用指針である「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」(平成 22年4月1日付総税市第16号、総務大臣通知)によれば、「特例対象となる家屋を維持し又はその効用を果すために使用されている一画地の土地で賦課期日現在において当該家屋の存するもの又はその上に既存の当該家屋に代えてこれらの家屋が建設中であるもの」をいうとされています。また「敷地の用に供されている土地」とは、「当該住宅を維持し、またはその効用を果たすために使用されている一画地の土地」をいい、その一画地の土地とは、「道路、塀、垣根、溝等によって他の土地と区分して認定するもの」とされています。(「地方税法第 349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」(平成9年4月1日付自治固第13号、自治省税務局固定資産税課長通知)。

こうした土地が「一体」と認められるかどうかを巡る税金トラブルが最近でも、持ち上がっていたことがわかりました(東京都平成30年3月27日)。

都内に70㎡の宅地に住宅を建てて住んでいたAさんは、隣地約100㎡を平成28年に購入しました。隣地にはもともと家屋をあったのですが、その所有者に取り壊してもらい、この土地の境界を仕切っていた3段のブロック塀は残したまま、その上にあった金属製の柵を7メートルほど取り払い、自分の住宅と行き来できるようにして、駐車場として利用していました。

課税当局の職員は、この土地が更地になっていることをこの年末に確認し、翌29年4月に再度現地調査を行い更地のままだったことを確認の上、同年6月までに、この土地を非住宅用地に認定替えをすること、ブロック塀の一部撤去、客観的に庭として使用していることが確認できるような整備がなされた場合に、住宅用地への認定替えの可能性もあることから、次年度の固定資産税等の賦課期日である平成30年1月1日現在の利用状況を申告するよう通知しました。その上で同年6月、非住宅用地としての賦課を伴う納税通知を行ったため、Aさんが審査請求に及び争いになったものです。

審理した東京都は、一体かどうかの認定に当たり、上記の「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」を引用したうえで、土地の現況について「ブロック塀がコンクリートブロック3段積みであるとすると、約50ないし60センチメートルの高さの塀が境界全体に設置されている状態である。(中略)このような状況を客観的に見ると、両土地は、ブロック塀によって明確に区画を分かっているもの」と認定。東京都はこの認定について「ある土地を他の土地と区分する認定を行う際には、物理的に区画を明示するものが現地に存在し、事実上区分が明確であれば、別々の画地とすることが基本であり、土地と土地とを行き来することが、全く不可能な状態となっていることまでは必要としていないとされることからも、適切・妥当な判断」として、課税庁を支持しています。

[ 遠藤 純一 ]

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