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東京都が固定資産税調査 労働組合事務所建物で喫煙所は非課税認めず

2018.03.05

東京都は宗教法人の持つ境内建物や健康保険組合などの持つ建物のうち、非課税とならない用途で利用されている箇所がないかどうか調査を進めています。非課税にならない箇所が見つかった場合には、課税を見直して、固定資産税や都市計画税の徴収を強化しています。

最近でも、ある労働組合が事務所などとして保有する7階建ての建物(およそ3,400㎡)を調査し、分煙のための喫煙所などが、労働組合が保有し事務などに使用する「事務所」とは認められないから非課税にならないと指摘して課税処分したケースが、ありました。

労働組合側は、「喫煙場所が5か所あるが、これは労働安全衛生法68条の2や健康増進法25条に定める受動喫煙防止の努力義務に応えるために設置したものである。(中略)仮に、喫煙スペース部分が固定資産税等の課税処分を受けることとなれば、請求人が労働安全衛生法等の定める受動喫煙防止の努力義務等に対して消極的な動機付けを与えるだけでなく、受動喫煙防止対策助成金の効果を減殺し、我が国の受動喫煙防止を目指すところの法制とも矛盾することになる」と反論し、あくまでも組合が保有し使用する非課税部分の「事務所」だとして審査請求をしました。

しかし、労働組合側の言い分は通りませんでした。この事例は審査会の答申を受けて審査庁である東京都が裁決したものです(平成29年9月15日東京都裁決)。

審査されたところによると、問題になったのは、地方税法348条4項の非課税規定。これは、特別法に基づく法人である連合会や共済組合などが所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に対しては、固定資産税を課することができないと定められているもの。

東京都は、喫煙所など非課税にならない箇所について「各喫煙スペース部分を労働組合である請求人の事業に関連して事務を行う部分と認めることはできない」などとして、課税した都税事務所の判断は相当であるものと認められると判断しました。

また組合側の主張については、租税法の非課税要件を定める規定については、租税負担公平の原則から、不公平の拡大を防止するため、解釈の狭義性、厳格性が強く要請されているとして、「労働安全衛生法68条の2及び健康増進法25条の規定によれば、 事業者等は受動喫煙の防止策を講じるよう努める旨規定されているものの(中略)、固定資産税等にかかる課税庁が、法の非課税規定の解釈に当たって、このことを積極的に考慮して、裁量的な適用を行うべきであるとまでいうことはできない」としています。

[ 遠藤 純一 ]

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